ルセフィ5mgは糖の排泄を促すことで糖尿病の症状を抑え、神経障害や網膜症、腎臓病などの合併症を予防する2型糖尿病の治療薬です。
食べ物や飲み物が消化されると体内でブドウ糖と呼ばれるエネルギー源がつくられ、血液によって体の細胞に運ばれて筋肉や臓器で使われます。このブド ウ糖の血液中量を示す値を血糖値と呼びますが、この血糖値が異常に高い状態が続き、血管や臓器に支障をきたすことで、さまざまな身体障害を引き起こす疾病 が糖尿病です。
尿を作る器官である腎臓と糖は密接に関わっており、最初に作られる原尿には糖やアミノ酸、電解質など人間の体にとって大切な栄養素が含まれていま す。しかし、これらの栄養素が尿と一緒に排泄されると体にとって不都合な影響を引き起こす可能性があるため、細尿管と呼ばれる部分で水分や栄養素が血液中 に再び吸収されます。これを再吸収と呼び、その働きには細胞の表面に存在するたんぱく質のひとつであるナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)が関わっています。
細尿管は、腎臓側からそれぞれ近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管という部位に大きく分類されますが、中でも近位尿細管には糖の再吸収の約90%を行なうSGLT2と呼ばれる輸送体があり、尿中に含まれる糖を認識して血液中へと移行させる働きを持っているため、健常者では尿に糖が含まれることがありません。ところが血糖値の高い人では原尿に含まれる糖が多く、再吸収が追いつかなくなることから尿中に糖が残り、糖尿病になります。
このSGLT2の働きを阻害し、再吸収を抑制することで血液中への糖の移行を抑え、血糖値を低下させる効果を発揮するのがルセフィ5mg の有効 成分であるルセオグリフロジンです。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンであるため、多くの糖尿病治療薬がこの働きを強めるように作用しますが、その 一方で低血糖や体重増加などの副作用が起こりやすいという問題点があります。ところがルセオグリフロジンは腎臓からの糖の再吸収を阻害するだけなので低血糖 の心配が少ないだけでなく、体内の糖が減ることによる体重減少などの効果も期待されています。
なお、ルセフィ5mgは単独では効き目がやや弱いとされており、インスリン注射薬をはじめとしてα-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、スルフォニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド薬など、ほかの糖尿病治療薬と併用することがあります。