メトラーXR-100は、狭心症および高血圧の治療薬で、心臓発作の治療や予防にも使用されることがあります。
血圧や脈拍の調節など、心臓や血管の働きには自律神経が深く関わっています。この自律神経は交感神経と副交感神経から成り、それぞれがアクセルとブレーキ的な役目を果たしながら、互いに相反する作用を持っています。
例えば心臓や血管においては、交感神経は心拍数亢進、心臓収縮、血管収縮など、また副交感神経は心拍数遅延、心臓弛緩、血管弛緩などの働きに関係しています。
ストレスを感じたり興奮すると、交感神経からアドレナリンなどの化学物質が分泌され、神経末端に存在している受容体と結合することでそれぞれの働きをします。この受容体にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体の2種類があり、α受容体は血管の収縮を、β受容体は心臓収縮回数を増加させたり、血液の量を増やすなどの作用があります。
さらにβ受容体のうちβ1受容体は心臓の刺激、β2受容体は末梢血管や気管支などの拡張に関与しています。
高血圧は、遺伝や肥満、運動不足、塩分の摂り過ぎなどが原因となって血管の壁にかかる圧力が通常より高くなる状態で、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg 以上、または拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上を指します。高血圧は特別な症状がなく、自覚症状もほとんどありません。気付かずに放っておくと、狭心症や心筋梗塞などに至ることがあり、また脳の血管に高い圧力がかかると血管の詰まり、破損を引き起こして脳卒中を起こします。ほかにも腎臓の血管が影響を受けると腎不全になります。
高血圧によって長い間血管に負担がかかると、血管の壁が傷つき、そこにコレステロールがたまることで動脈硬化が起こります。血管の壁が厚くなっていくことによって血管が狭くなり、血流が悪くなりますが、血液には栄養や酸素を臓器や筋肉に運ぶ役割があり、血の流れが滞るためにその機能がうまく働かず、心臓に激しい痛みや圧迫感などの症状が現われます。これが狭心症です。
メトラーXR-100は、心拍数および安静時・運動時の心拍出量の低下、運動時の収縮期血圧の低下、イソプロテレノール誘導性頻脈の抑制、反射性起立性頻脈の抑制作用があることが実験で証明されているβ遮断薬です。
有効成分のコハク酸メトプロロールがβ1受容体に選択的に結合し、アドレナリン作動性効果を遮断します。これにより心臓の収縮力が弱まり、脈拍が遅くなることで拍出量が減り、末梢管抵抗が低下して血圧が下がります。また心筋細胞においては、β受容体を介して細胞内のカルシウム濃度が変化することで心筋が収縮しますが、不全心筋の人ではこの機能がうまく働かないために心筋の収縮性が低下しています。
β遮断薬にはこの調節機構を回復させる作用もあり、この点からも心不全に対して効果があるとされています。