ガブロム点眼液0.09%は、主に術後炎症の治療および、白内障手術を受けた人の眼痛緩和に使用される点眼薬です。また眼瞼炎、結膜炎、強膜炎など、外眼部および前眼部の炎症性疾患にも適用があります。
白内障は、眼球の水晶体が白く濁るために光の通過が悪くなり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなるために視力が低下する病気です。目のかすみ、視界のぼやけ、明るい場所がまぶしく感じる、暗い場所が見えづらくなる、などの症状が現われ、痛みや異物感、充血などは伴いません。
詳しい原因は不明ですが、60代では60-70%、70代では70-80%、80代では95%以上の人が水晶体に濁りが生じ、白内障を発症していることから、加齢が原因のひとつと考えられているほか、アトピー性皮膚炎、糖尿病、外傷、薬の副作用などが関係して、水晶体の細胞同士の接着力が弱まったり、水分の通りが悪くなることで起こるのではないかとも推測されています。
白内障によって混濁した水晶体は元に戻すことができません。従って、白内障はできるだけ早期に発見し、その進行を遅らせる目的で酸化防止剤などの薬剤を使用するのが一般的ですが、近年では手術時間の短縮、術後視力予後の改善期間が短くなってきているなどの理由から、早期に手術を行なうケースが増えているとされています。
その代表的な手術方法には2種類あり、ひとつは濁った水晶体を超音波で砕いて吸引する水晶体超音波乳化吸引術(PEA)を施した後に、人工の水晶体を入れる手術で、白内障治療ではもっとも頻繁に行なわれている手術です。通常は10分程度で終了し、傷も小さいことから視力の回復も早く、乱視の発生も少ないというメリットがあります。
もうひとつは嚢外摘出術です。白内障が進行すると水晶体の中心部にある核の部分が硬くなりますが、この手術はそれを摘出する手術です。最近ではあまり行なわれなくなりましたが、水晶体超音波乳化吸引術ができない、眼に合併症がある、などの場合にはこの方法が適用されます。
一般に、白内障の手術では縫合が必要なため、術後に炎症や乱視が起こりやすいという欠点があります。その術後の炎症や眼の痛みを改善する目的で使用されるのがメガブロム点眼液0.09%です。
有効成分のブロムフェナクは、非ステロイド系の抗炎症成分で、シクロオキシゲナーゼIおよびIIを阻害してプロスタグランジンの合成を抑制する働きを持っています。
プロスタグランジンは、人間のほとんどの組織や器官、体液に存在して血管の収縮・拡張、胃液分泌の調節、腸管収縮、子宮筋収縮、血小板凝集などの生理活用作用を持つ物質で、痛みや発熱、炎症の発生にも深く関わっています。
このプロスタグランジンはシクロオキシゲナーゼという酵素の作用によってつくられますが、ブロムフェナクはその酵素の働きを阻止するため、その結果として炎症や痛みを抑えます。
ただし、メガブロム点眼薬0.09%による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意してください。