ペルマイト5%は、ヒゼンダニによる感染症である疥癬(カイセン)の治療薬です。基本的に1回の塗布で効果があらわれ、また副作用が少なく、乳児や妊婦、授乳婦なども使用できるとされています。
疥癬は、ヒゼンダニと呼ばれる小さなダニが皮膚に寄生して起こる感染症で、そのルートには集団生活などで寝具や衣類を共有することによる間接的な感染と、性行為で長時間肌と肌を接触する直接的な感染があります。このように人間に感染したヒゼンダニは、手首や手のひら、指の間、ひじ、わきの下などに横穴をつくって卵を1日に2-3個産みつけます。この産卵は約1ヵ月続き、卵は3-4日で孵化して成虫になります。しかしながら、ヒゼンダニは人間の体から離れると長く生きることができず、また高熱や乾燥に弱いため、50度以上の環境に10分以上さらされても死ぬことがわかっています。
疥癬には通常疥癬と角化型疥癬の2種類があります。通常疥癬は、疥癬の中でも一般的な感染で、生息するヒゼンダニの数は数十匹またはそれ以下です。他人への感染力は弱いですが、強いかゆみを伴う赤いブツブツである紅斑性小丘疹が顔や頭を除いた全身にあらわれるのが特徴です。
また角化型疥癬は、主に全身衰弱者、ステロイド剤や免疫抑制剤などの使用で免疫能が低下している人に多くみられます。角質が増殖して垢が肥厚したような状態になり、場合によっては亀裂が生じることもあります。生息するヒゼンダニの数は100万-200万とも言われ、剥がれ落ちた鱗屑などにも多数のヒゼンダニが認められるため強い感染力を持っています。
疥癬の治療には、ヒゼンダニを殺すことを目的とした飲み薬や塗り薬が使用されていますが、特に塗り薬の場合は基本的に全身に塗布する必要があるほか、何度も繰り返し塗布する必要があるため患者の負担が大きく、さらに現在一般的に使用されている薬剤は使用する人が限られたり、副作用が多々認められるのが実情です。
ペルマイト5%は、これらの問題がほとんどない画期的な疥癬の治療薬です。有効成分のペルメトリンは除虫菊の有効成分とその誘導体からなるピレスロイド系殺虫剤のひとつで、虫の神経系に作用してけいれんや麻痺を起こすことで殺虫効果を示します。高い殺虫能力を持つ一方で、哺乳動物に対しては分解酵素の働きにより速やかに代謝されて短期間で体外に排出され、また経皮吸収が少ないため人体への毒性が極めて低いと言われている画期的な成分です。
この安全性の高さから、ペルメトリンは海外では生後2ヵ月以上の小児、妊婦や授乳婦に対しても適用が認められているのに加え、1回の塗布における治癒率は89-98パーセント、2回の場合では85-100パーセントと非常に高いことから、多くの国において疥癬治療の第一選択薬となっています。