ベトノベート-Cクリームは、2種類の有効成分を配合したコルチコステロイドで、湿疹、乾癬、皮膚炎などの皮膚の炎症を改善する外用薬です。
コルチコステロイドは、副腎皮質ステロイドや副腎皮質ホルモンとも呼ばれ、副腎の外層である副腎皮質でつくられるホルモンの総称です。生体の恒常性維持に大きな役割を果たしており、炎症を鎮めたり、免疫系を抑える作用があるため、炎症性の病気、免疫系の病気、アレルギー性の病気に広く使用されています。このコルチコステロイドを合成した薬剤がステロイドです。
皮膚の炎症は、アレルギーや皮膚過敏の結果として発生し、また免疫システムにおいて重要なヒスタミンやプロスタグランジンなどのさまざまな物質が放出され、組織に作用することで起こります。これらの物質は血管を拡張させ、炎症を起こして赤み、腫れ、かゆみ、痛みを起こし、俗に言う皮膚炎や湿疹を引き起こします。
一般にアレルギーが原因で起こる皮膚の炎症には、ステロイド薬で過剰な免疫反応を抑え、細菌感染の場合は抗生物質で細菌を抑えますが、ベトノベート-Cクリームはこれらの作用を持つ成分を配合し、皮膚の治療に効果的な威力を発揮するクリームです。
有効成分のひとつであるベタメタゾンは、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用、広範囲にわたる(糖、たんぱく、脂質などの)代謝作用を持つコルチコステロイドです。抗炎症作用はヒドロコルチゾンの約25倍、プレドニゾロンの約7倍、デキサメタゾンとはほぼ同等であるとされ、皮膚に塗布されると細胞内で炎症性サイトカンやプロスタグランジンといった炎症物質の放出を抑えることで、腫れ、赤み、かゆみなどの症状を抑えると考えられています。
一方、クリオキノール(キノホルム)は抗真菌および抗菌作用を持つ成分で、菌の成長に必要な菌体内の金属酵素から金属を奪うことで殺菌作用を示します。また近年では、アルツハイマーの特効薬として研究されている成分でもあります。
ベトノベート-Cクリームは、これら2製剤の相互作用で、アトピー性皮膚炎、円盤状湿疹、結節性痒疹、乾癬(広範囲におよぶ尋常性乾癬を除く)、神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触過敏症反応、円盤状紅斑性狼瘡などの2次的真菌感染や、真菌感染が原因で起こるこれらの症状の改善や予防に有効な薬です。
これ以外にもベトノベート-Cクリームは、虫さされによる二次感染、肛門や性器の間擦疹に対しても効果を現わします。