ヘルペス
ヘルペス(単純疱疹、帯状疱疹)
ヘルペスとはヘルペスウイルスによる皮膚や粘膜の感染症で、一般に単純疱疹、帯状疱疹として知られています。
いったん感染すると、ウイルスが体内に潜伏し続けるために、体力や抵抗力の低下に伴って再発を繰り返すという性質があります。
単純疱疹とは「熱の華」としても知られている、単純ヘルペスウイルスによる感染症で、口唇ヘルペス、顔面ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、性器ヘルペスなどが含まれます。
感染すると皮膚に痒みやピリピリ感といった刺激が現れ、その後患部が赤く腫れて数個の水ぶくれが集まった病変が形成されます。
形成された水ぶくれは2週間程でかさぶたとなって剥がれ落ち、症状も消滅しますが、過労、ストレス、抵抗力の低下などによって再発を繰り返すのが単純疱疹の特徴です。
一方の帯状疱疹は「ヘルペス」として知られている、水疱・帯状ヘルペスウイルスによる感染症です。
初感染で水ぼうそうを発症させ、その後知覚神経へ潜伏したウイルスが何らかの誘因によって再活性したもので、顔や腹部の左右どちらか片側にだけ広範囲に赤みや水疱が現れます。
また発症の際にウイルスが神経を通過してでてくるため激しい痛みを伴います。
帯状疱疹は3週間程で緩和、消滅するうえ、症状に対する免疫機能が発達するため、再発を繰り返すことはほとんどないとされています。
ヘルペスウイルスは接触感染や飛沫感染によって感染し、非常に強い感染力を持っています。
ただし感染するのは、皮膚に症状が出ている時のみで、そうでない時、つまり潜伏期間中に感染することはほとんどありません。
そのため症状があらわれている時には患部に触れない、患部に触れた手はすぐに洗う、タオルや食器などの共有をしない、キスなどをしないといった予防策を取ることが必要となります。
また、新生児や乳幼児においては分娩時の産道感染による新生児のヘルペス脳炎や、産後間もない感染による全身症状といったといった重篤な症状を引き起こす危険性があるため、適切な予防処置をとることが非常に大切であるとされています。
◆ヘルペスの症状◆
※単純疱疹
皮膚の刺激感や不快感に続いて1個から数個の水疱が形成されます。
※帯状疱疹
顔や体の左右どちらか片側の広い範囲において激しい痛みを伴う皮膚の赤みや腫れ、多数の水疱が帯状に形成されます。形成された水疱が破れると潰瘍を形成します。
◆ヘルペスの治療法◆
潜伏しているヘルペスウイルスに効果を発揮する治療法はないため、一旦体内に潜伏したウイルスの完全な排除は不可能とされています。
そのため治療は抗ウイルス剤を用いて病変部でのウイルスの増殖を抑制し、治癒を早めて不快なえ症状を軽減することが中心となります。
軽症の場合は外用薬が用いられることもありますが、基本的には抗ウイルス内服薬投与による治療となります。
また、抗ウイルス薬は、ウイルスのDNA合成を阻害することによってウイルスの増殖を抑制する薬剤であるため、特に再発の兆候が起きている早期の段階、つまりウイルスが増殖を開始する前での使用が効果的であるとされています。
◆内服薬◆
◆外用薬◆