ヘア・フォー・ユー10%は、脱毛症の治療薬です。
ひげや頭皮にある男性ホルモン(テストロン)は、酵素の働きによりさらに強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、受容体と結合します。このジヒドロテストステロンが結合した男性ホルモン受容体は、ひげにおいてはその成長促進に関与していますが、前頭部や頭頂部では細胞増殖阻害作用のあるTGF-β(ベータ)などを誘導し、毛母細胞の増殖を抑制するように働きかけます。そのため毛髪の成長期が短縮し、長く太い毛に成長する前に抜けてしまいます。
このように男性ホルモンの影響で脱毛現象が起こる症状を男性型脱毛症(AGA)と呼びます。実際に男性型脱毛症の人では、脱毛部分の頭皮にこのジヒドロテストステロンが多量存在することが確認され、脱毛の症状も、額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらが混合したタイプなど、さまざまな進行パターンが認められています。一般には遺伝や生活習慣が主な原因と考えられ、30代以降にみられることが多いようです。
ヘア・フォー・ユー10%の有効成分であるミノキシジルは、男性型脱毛症の治療に効果を発揮するとして米国食品医薬品局(FDA)で承認されている成分です。本来は高血圧の治療薬として使用されていましたが、その副作用として頭髪を含む体毛が成長し、また脱毛症の改善が認められたため、改めて脱毛症の薬として研究、開発されたという経緯があります。発毛・育毛効果を発揮する機序はまだ詳しくは解明されていませんが、この薬が本来持つ血行の促進や改善作用が毛根を刺激して栄養を与えるためという説や、ミノキシジルのたんぱく合成促進作用が休止期の毛包を初期成長期に移行させる効果があるため、などの説があります。
実際、男女とも数ヵ月の使用で25%に毛髪の成長が認められたほか、5%濃度のミノキシジルでは51%の男性に頭頂部の脱毛に改善が見られ、そのうち19%が中等度かそれ以上の改善効果があったとの試験結果も出ています。