プロクト・グリベノール30gは、痔核や裂肛に伴う出血や痛みなどの症状をやわらげる軟膏タイプの薬です。
痔核は俗にイボ痔と呼ばれるタイプの痔です。肛門部周辺にある痔静脈という静脈が圧迫されて血液の流れが悪くなり、血管がふくらんでこぶ状になった状態で、この静脈瘤からの出血や血栓(血豆)による腫れなどの症状がみられます。
痔核はその発生する位置により外痔核と内痔核に分かれます。肛門の縁から奥に15センチほどの場所にある肛門上皮下にできる外痔核の場合では出血することはまずありませんが、腫れると痛みを伴います。一方、直腸下端の粘膜下にできる内痔核は、排便時に少量から大量の出血を伴うのが特徴です。しかし知覚神経が通っていない場所にできるために痛みはほとんど感じません。ところが症状が進行すると痔核が肛門の外にまで出てきたり、炎症を起こすことがあり、その場合は激しい痛みを感じるようになります。
痔核の原因は圧力です。肛門は心臓より低いところに位置しているため、痔静脈には常に一定の圧力がかかっています。立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢を続けていると、痔静脈への圧力がさらに高くなり、痔核が起こりやすくなると言われています。さらに年齢、遺伝、食習慣なども関係していると考えられています。
切れ痔(裂肛)は肛門の内側にできる切り傷で、イボ痔(痔核)、アナ痔(痔ろう)に次ぐ肛門3大疾患のひとつです。皮膚と直腸粘膜の間にある肛門管である肛門上皮にできやすく、特に肛門の後方(背中側)にできることが多いようです。この部分は直腸に比べて血行が悪く、弾力性に乏しいことから痛みに敏感な部分であり、排便時または排便直後には肛門に痛みを感じるほか、さらに裂傷による少量の出血を伴います。
裂肛の主な原因は便秘で、硬い便や太い便が出る際に肛門を傷つけることで起こりますが、下痢や軟便が原因となることもあります。また慢性的な炎症などにより肛門周囲の皮膚に柔軟性がなくなり、裂けやすくなることも原因のひとつと考えられています。
抗炎症および鎮痛作用を持つ成分に局所麻酔成分を加え、痔核に伴う出血、疼痛、腫脹などの症状および、裂肛に伴う出血、疼痛の緩解などに効果を発揮するのがプロクト・グリベノール30gです。有効成分のひとつであるトリベノシドは、主に炎症を抑え、痛みを緩和するなど従来の抗炎症薬と同じ働きをしますが、それ以外にも創傷治癒促進作用を持つ点でほかの成分とは一線を画しています。
またもうひとつの成分である塩酸リグノカインは、局所麻酔剤および抗不整脈剤として広く使用されている成分で、イオンチャネルのひとつであるナトリウムチャネルに結合し、ナトリウムイオンの透過を阻害します。この働きにより活動電位が不活性化され、神経伝達を遮断して脳への電気信号伝達を阻害することで即効性で強力な局所麻酔作用を発揮し、痛みなどの感覚が起こるのを抑えます。
これら2つの成分の相乗効果により、プロクト・グリベノール30gは抗浮腫作用、創傷治癒促進作用、循環障害改善作用、表面麻酔作用を示すことが報告されており、痔核や裂肛が起こす諸症状を速やかに緩和します。