フォラジル12mcgは、肺に吸入することにより気道を拡げ、ぜんそくおよびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に伴う症状を改善する吸入タイプの薬です。
ぜんそくは、ダニ、ほこり、花粉などのアレルゲンを吸入することによる慢性的な気道炎症が原因で起こり、症状が現れない平常時と、呼吸困難、喘鳴、胸が締め付けられるなどの症状を伴う発作時の2つの状態があります。日本では人口の約3-5%が、また世界中では約3億人がぜんそくであると推測され、その数は年々増加しています。
一方、COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、「持続性あるいは反復性の痰を伴うせきが少なくとも連続して過去2年以上、毎年3ヵ月以上」続き、起床時のせきを伴った粘液性の痰を主症状とする「慢性気管支炎」や、有害物質により肺の組織が破壊されることで機能低下を起こし、肺が膨らむことで横隔膜や心臓を圧迫する「肺気腫」などの総称です。
中年以降の喫煙者の約20%に発症が認められ、また喫煙者が発症する確率は非喫煙者の6倍にもなるとされていることから、別名「タバコ病」とも呼ばれています。
これらの病気に伴う気道の狭窄を改善するのがフォラジル12mcgです。
気道狭窄は、迷走神経終末から放出された神経伝達物質のアセチルコリンが気管支平滑筋上に存在するムスカリン性アセチルコリン受容体に結合することによって引き起こされますが、有効成分のホルモテロールフマル酸塩水和物は、気管支平滑筋に存在するアドレナリン受容体のβ2受容体を刺激して、気道を拡げます。
アドレナリン受容体は主に心筋や平滑筋のほか、脳や脂肪細胞に存在し、アドレナリンやノルアドレナリンをはじめとするカテコールアミン類によって活性化されます。その作用によりα1-2およびβ1-3に分類されますが、このうちβ2受容体は気管支や血管、心臓のペースメーカー部位に存在し、気管支平滑筋や血管平滑筋(筋肉、肝臓)の拡張のほか、各種平滑筋の弛緩と糖代謝の活性化などに関わっている受容体です。
フォラジル12mcgを吸入すると、ホルモテロールフマル酸塩水和物のβ2受容体刺激作用により平滑筋の緊張を低下させ、これにより気管を拡張させる作用を発揮するために、ぜんそくなどの症状を緩和すると考えられています。
またこの改善効果は吸入後約3分で出現し、その作用は少なくとも12時間持続するのが特長です。