フィナロ1mgは男性における男性型脱毛症の進行を遅らせる薬で、プロペシアのジェネリック薬です。
一般的に髪の毛の総本数は約10万本と言われています。
髪の毛は一定期間成長した後に抜け落ち、抜け落ちた後からまた新しい髪の毛が生えてくる、毛周期というサイクルを繰り返し、全体として一定量を保っています。
このサイクルは毛周期と呼ばれ、髪の毛が活発に伸びる成長期、成長が衰え抜け変わる準備に入る退行期、成長が停止し、抜け変わる休止期の3つのフレーズに分類されています。
通常毛髪の成長期は2-6年、退行期は約2週間、休止期は3-4ヵ月程度とされており、またこのサイクルから考慮して1日50-100本の抜け毛は生理的範囲とされています。
しかし抜け毛の量が、再生される髪の毛の量を超えることで毛髪が薄くなったり、あるいは部分的にまとめて抜けることを称して脱毛症と呼びます。
特に思春期以降に額の生え際や頭頂部が薄くなり始め、脱毛が進行していく状態を男性型脱毛症(AGA)と言い、日本では約1,260万人の人がこの症状で悩んでいるとの推計があります。
男性型脱毛症の原因には、遺伝や男性ホルモンが深く影響していると考えられています。
その代表的な男性ホルモンが骨や筋肉の発達を促し、ひげや体毛などの毛を濃くする働きのテストステロンですが、実際にひげや前頭部、頭頂部の毛乳頭細胞で作用するのは、5α(アルファ)-リアクターゼという酵素の働きにより変換される強力なジヒドロテストステロン(DHT)という活性型になります。
5α-リアクターゼにはI型とII型があることが知られています。
5α-リアクターゼI型は主に全身の表皮、或いは皮脂に存在しており、全体の30-40%のジヒドロステロンの生成に関与しているとされています。
このI型によって生成されたジヒドロステロンは、皮脂腺に存在する男性ホルモン受容体と結合することによって、皮脂を過剰分泌させ、皮脂による毛穴詰まりによる脱毛作用を増強するとされています。
5α-リアクターゼII型は前頭部や頭頂部の毛乳頭や生殖器官などの男性ホルモン標的器官内に集中して存在しており、この酵素によって変換させられたジヒドロステロンは毛乳頭に存在している男性ホルモン受容体と結合すると、髪の毛を作り出している毛母細胞の増殖を阻害するTGF-β(ベータ)1などの物質を生成します。
TGF-β(ベータ)1には毛母細胞のアポトーシス(自然細胞死)を引き起こすことによる毛母胞の増殖抑制作用があり、この作用によって毛周期の退行期が誘導されることから、毛髪が長く太い毛に成長する前に抜け落ちてしまうとされています。
毛を育成する毛母細胞への直接の関与や全体のジヒドロステロンの60-70%を変換しているとされることからも、男性型脱毛症の治療には5α-リアクターゼII型の重点的な阻害がより有効であるとされています。
フィナロ1mgの有効成分であるフィナステリドは、5α-リアクターゼII型酵素の働きを特異的に阻害することによってジヒドロテストステロンの産生を抑制し、男性型脱毛症において薄毛停止や育毛効果をもたらす薬です。
その効果はとても高く、日本国内の臨床試験において1日1mgのフィナステリドを服用した人の98%に抜け毛進行の停止が認められ、58%に軽度以上の改善がみられました。
さらに2年および3年の服用継続により軽度改善以上の効果がそれぞれ68%、78%となり、長期継続にすることで効果が高くなることが実証されています。
また日本皮膚科学会が発表した2010年度男性型脱毛症診察ガイドラインでは、フィナステリドを男性型脱毛症の内服治療の第一選択薬として使用すべきであると強く推奨しています。
しかし更年期以降の女性に生じた男性型脱毛症に対してはその効果は無効であり、また胎児に悪影響を与える可能性が高いことから、妊婦および妊産婦の服用は禁忌とされています。
なお、フィナロ1mgは着色料として酸化チタン(Titanium Dioxide)を使用しています。