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2014-08-08

ソース(記事原文):メッドスケープ

パーキンソン病の衝動制御障害を抑えるにはナルトレキソン?

メッドスケープ(2014年8月8日) ― メガン・ブルックス(Megan Brooks)著

オピオイド拮抗薬ナルトレキソンが、パーキンソン病患者における衝動制御障害(ICD)を抑える可能性のあることが、予備的研究で示唆されている。

フィラデルフィアのペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の研究者らが実施した予備試験の結果から、ナルトレキソンは、総合的反応評価で判定すると衝動制御障害の治療薬として効果はないが、パーキンソン病評価尺度で判定すると症状を改善させるように思われることが明らかにされた。

ダニエル・ワイントラウブ(Daniel Weintraub)博士を中心とする研究者らは「今回の予備的研究の結果は、パーキンソン病の衝動制御障害の治療におけるナルトレキソン(高用量も含め)又はその他のオピオイド拮抗薬(例:ナルメフェン)の更なる研究を支持するものである」と記している。

本研究は、医学誌ニューロロジー(Neurology)7月17日号オンライン版に掲載された。

管理が困難

衝動制御障害は、強迫的ギャンブル、強迫的買い物症、強迫的な性行動、暴食などからなり、パーキンソン病患者において比較的よくみられ、特にドーパミン作動薬による治療に関連しており、管理は困難である。

重症でなければ、現時点では衝動制御障害の管理には特に何も行われない。軽症のアプローチとして、現在の治療の変更、別のドーパミン作動薬への変更、精神病治療薬(抗精神病薬または抗うつ薬など)の追加、あるいは深部脳刺激の検討などがある、とワイントラウブ氏は述べている。

ナルトレキソンは、アルコール依存症の治療薬として使用されている薬剤であるほか、対照試験において一般集団における病的ギャンブルの治療に有効であることが示されているとともに、症例報告においてドーパミン作動薬投与中のパーキンソン病患者の衝動制御障害を抑えるのに効果的であり得ることが示唆されている。

本研究者らは、パーキンソン病を発症し、ドーパミン作動薬(ロピニロール又はプラミペキソール)を投与後に衝動制御障害を発症した特発性パーキンソン病患者50人を対象に、ナルトレキソンの有効性をプラセボと比較検討した。ナルトレキソン投与群は26人、プラセボ群は24人とした。

本試験開始から最初の4週間は、ナルトレキソンを1日1回50 mg投与した。4週時点で無反応(その定義は臨床的全般改善度[CGI-C]尺度スコアが1又は2)の場合、後半の4週間はナルトレキソン用量を100 mg/日に増量した。

合計45人(90%)が本試験を完遂し、その結果はまちまちであった。

主要評価項目である臨床的全般改善度(CGI-C)では、プラセボと比較して、ナルトレキソンで有意な有益性はみられなかった。試験を終了した患者におけるCGI-Cの奏効率は、ナルトレキソン群で54.5%、プラセボ群で34.8%であった(フィッシャーの直接確率検定、P = 0.23)。ナルトレキソンの優位性を示す奏効率の差は19.8%であった(95%信頼区間[CI]: -8.7% ~ 44.2%、オッズ比[OR]1.6)。

しかし、本試験は「ナルトレキソンとプラセボの間の奏効率の重要差を排除するために、統計学的な精度を欠いた」と本研究者らは述べている。

パーキンソン病に特異的な衝動制御障害の評価(QUIP-RS[パーキンソン病の衝動-強迫性障害の尺度]質問票)に記入した患者1名では、プラセボと比較して、ナルトレキソン治療で経時的にQUIP-RSスコアが有意に減少した(P = 0.04)。

衝動制御障害のQUIP-RSスコアのベースラインから8週目までの推定変化は、ナルトレキソン群で14.9点(95% CI: 9.9 ~ 19.9)であったのに対し、プラセボ群で7.5 点(95% CI: 2.5 ~ 12.6)であった。

この患者集団においてナルトレキソンの忍容性は良好であり、有害事象はアルコール使用障害患者で認められるものと一致していた。最も多かった有害作用は吐き気(9.8%)と頭痛(6.6%)であった。

さらなる試験を実施する価値あり

「2つの転帰評価項目における結果の食い違いについて考えられる説明として、連続値をとる評価(CGI-Cなど評点によるもの)は、総合評価(2値[YesかNo]をとる評価、QUIP-RSなど)と比べて、情報に富み、検出力に優れているため、連続値をとる評価(CGI-C)の方が有意差を検出しやすいことが挙げられる」と著者らは記している。

ワイントラウブ氏は、パーキンソン病における衝動制御障害に対するナルトレキソンの更なる試験を行う価値あると信じている。

「衝動制御障害の重症度の評価尺度における統計学的に有意な差と、臨床全般印象尺度スコアにおける数的な差が認められたことは、パーキンソン病における衝動制御障害に対するオピオイド拮抗薬の追加試験を後押しするものであると考えている」と同氏は述べている。

「この分野における今後の研究において検討すべき重要事項は、症状の変化に対し高感度の適切な主要評価項目を含めることにある」と著者らは結論付けている。


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