パントセック40mgは、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)や流動性食道炎の治療薬として効果を発揮するほか、抗生物質と併用する事でピロリ菌の除菌補助としての効果も持っています。
消化性潰瘍は、胃液の作用を受けやすい胃や十二指腸に主に発生する病気です。胃から分泌される胃酸と、胃酸から胃壁を守る粘液の分泌バランスが崩れ、胃酸の影響を受けた胃壁に潰瘍や穴ができて痛みを感じたり、ひどい場合には出血を起こします。
また重度の胃潰瘍の場合は、胃壁の穴が胃の外側にまで達する事もあるだけでなく、内視鏡検査などでも判断ができない癌に伴って、まれに消化性潰瘍の症状を起こす場合もあります。
典型的な症状として、一般的に胃潰瘍の場合は食後に、十二指腸の場合は空腹時において
上腹部に痛みを感じ、しばしば胸やけやげっぷを伴います。
また胃潰瘍患者の30~40%に吐血や下血がみられ、下血の場合は黒いタール状の便が出ます。
流動性食道炎は、胃から分泌される胃酸が食道に逆流し、食道粘膜を刺激し傷つけることで起こる炎症です。
また、症状はあっても炎症がみられない場合もあり、近年では胃食道逆流症と言う概念で捉えられる事もあります。
流動性食道炎の主な症状として、胸やけ・嘔吐・咽頭部や喉の痛み・肋間神経痛のような胸痛・声枯れ・耳痛などの不快症状があり、多くの場合で過度のげっぷが出ます。また症状が重度になると出血を伴い、貧血を起こす事もあります。
今まで流動性食道炎は主に欧米に症例が多くありましたが、近年では日本でも増加傾向にあり、ストレス・過飲過食・飲酒による胃酸過多・肥満・妊娠などの生活習慣、食道下部括約筋や食道などの機能低下が主な原因と考えられています。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、ヒトなどの胃に生息する螺旋(らせん)型をした細菌です。胃の内部は胃液に含まれる塩酸により強酸性であるため、従来では細菌が生息できない環境であると考えられていましたが、ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる酵素を生産し、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、それによって発生するアンモニアにより局所的に胃酸を中和し、胃に感染しています。
このピロリ菌による感染は各種胃炎や消化性潰瘍、胃癌やMALTリンパ腫などの発症につながる事が分かっているほか、特発性血小板減少性紫斑病や小児鉄欠乏症性貧血、慢性じんましんなど、胃外性疾患の原因になることも分かっており、細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因になりうる事が明らかになっている唯一の病原体です。
パントセック40mgの有効成分・パントプラゾールは、プロトポンプ阻害剤(PPI)と呼ばれ、胃壁細胞のプロトンポンプに作用して胃酸の分泌を抑制する事で、これらの症状を緩和します。