バイオスガンリル10は、たんぱく質分解酵素の作用により、ブラジキニン、フィブリン、フィブリノーゲンなどを分解して炎症によって起こるはれを取り、痛みの緩和、鼻や痰の粘りを溶かして排出しやすくする、などの働きを持つ薬で、通常は手術後・外傷後・慢性副鼻腔炎や乳汁うっ滞時のはれの緩解、気管支炎・肺結核・気管支喘息・麻酔後の喀痰喀出困難などに用いられます。
人間の身体は傷ができて出血すると、それを止めようと自然に機能します。
これを止血機能と言います。
この止血機能は大きく分けて、1.血管を収縮させて狭くし、血液の流出速度を遅くする、2.血小板が傷口部分の血管壁に付着して傷口をふさぐ、3.血液凝固因子が働き、血管壁をふさいだ状態を維持する、といった3つのプロセスがあります。
この血液凝固に深く関わる物質が血漿中にあるフィブリノーゲン(フィブリノゲン)というたんぱく質です。
フィブリノーゲンは別名線維素原とも呼ばれ、血液凝固の最終段階でフィブリン(線維素)となります。フィブリンは血小板や血球を取り込むことで血餅の体積を増だし、止血や血栓を作る作用をします。
一方、血液凝固のプロセス段階で、血管内にブラジキニンという物質が生成されます。
ブラジキニンは痛みを発生させる元となる物質ですが、ほかにも発赤、局所発熱、腫脹、疼痛などの炎症症状を発現させる物質でもあります。
頭痛、筋肉痛、けがなどによる痛みは、すべてブラジキニンが原因となって引き起こされます。
バイオスガンリル10の有効成分であるセラチオペプチダーゼ(セラペプターゼ)は、たんぱく質分解酵素の一種です。
人間の体が本来持っている自然な修復機能が働いている間に、炎症部位などの患部に集中する線維素、粘液などの異常組織を分解することで炎症を抑え、また炎症に伴う分泌液の排出を促すことで異常な組織や死んだ組織を分解し、患部組織の修復を早める働きをします。
さらに炎症誘引物質であるブラジキニンの放出を抑制することにより痛みを緩和する作用も持っています。
このほかにも、その大部分がたんぱく質で構成されている痰や鼻のネバネバをサラサラに変える作用もあり、粘性のために排出が困難な場合の症状改善にも効果的です。
バイオスガンリル10のたんぱく質分解作用は、血清の濃さを調節し、色素や薬剤を運搬する働きをするアルブミンや、血液凝固作用およびリポたんぱく、ビタミン、ホルモン、銅を運搬するα(アルファ)-グロブリン、また病原体に抵抗する抗体になるγ(ガンマ)-グロブリンなどの血漿たんぱくにはほとんど影響しないため、バイオスガンリル10服用による大きな副作用の報告もありません。
また抗生物質の患部への移行をよくし、その効力を高めるとも言われています。
さらに、フィブリンの血液凝固に伴う副産物の溶解による循環器系の健康増進作用により、血管内皮への副作用なくアテローム性プラークの溶解を促進するため、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの予防効果も期待されている薬です。