ノリディ350mcgは、一般にミニピルやプロゲストゲン単独ピル(POP)とも呼ばれている避妊経口薬です。毎日欠かさず同じ時間に服用することで、避妊効果を発揮します。
一般の経口避妊薬としてのピルは、卵胞ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンのプロゲスチンという2種類のホルモンが配合されていますが、このうちプロゲスチンだけ含むピルがミニピルです。排卵を防ぐ作用はなく、子宮頚管の分泌液を濃くすることで精子の通過を防ぐほか、子宮内膜が厚く育つのを防ぎ、子宮内における受精卵の着床を妨げることで避妊します。ミニピルはエストロゲンが含まないため、喫煙者、授乳中の人や、血栓症、高血圧、片頭痛などの人が避妊する場合に適しています。
普通のピルが21日のホルモンピルと7日分の偽薬の組み合わせであるのに対し、ミニピルは毎日同じ量のホルモンを継続的に摂取するのが特徴です。ただし効果の持続時間が25時間と短いため、決まった時間に服用するのが原則で、もし服用時間が大きくずれた場合はその時点で避妊効果がなくなり、また一からの開始となるため服用には充分な注意が必要です。また理論的には普通のピルと比較して避妊効果は低いと言われていますが、適切に使用した場合では効果はほぼ同等と言われています。
ノリディ350cmgは、このミニピルの作用を持つ経口避妊薬です。有効成分のノルエチステロンは、体内から分泌される天然のプロゲストゲンと同じ働きをする合成製剤で、1951年に開発された第一世代のプロゲスチン(人工的に合成された黄体ホルモン作用を持つ物質)です。プロゲスチン活性は第2、第3世代と比較すると劣りますが、ニキビや男性化現象などの副作用を引き起こすアンドロゲン活性が低く、また代謝産物に一部がエストロゲンに転換されるという特徴があります。それ以外にノルエチステロンには特に際立った特徴はありませんが、長年使用されてきた実績により、安全性と有効性のデータが多く存在するほか、今後新たな副作用が発現するリスクが低い点が強みです。
ノルエチステロンは、ほかのミニピル同様に、3つの作用により妊娠を防止します。
1つめは、子宮頚部の粘液への作用です。ノルエチステロンはこの粘液を濃くすることで、精子が膣から子宮に到達しにくくします。子宮に精子が侵入できなくなると受精の可能性が減り、妊娠もしにくくなります。粘液が濃くなるのは服用後4-5時間とされているので、夜に性交する習慣のある人では夕方頃に服用するのが最適です。2つめの作用は子宮内膜の質の変化で、この変化により受精卵が子宮壁への着床が妨げられ、そして3つめは卵子が卵巣から放出されるのを防ぐ作用です。
ノリディ350cmgを含むミニピルの副作用でいちばん気をつけたいのは、エストロゲンの不足です。エストロゲンは骨のカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きがありますが、ミニピルの服用中はエストロゲンが不足するため、特に10代の人は将来的なことも考慮して、骨の健康に気をつけることが大切です。また、場合により抑うつ症の悪化も報告されていることから、過去に抑うつ症を患ったことがある人は、事前に医師または薬剤師に相談するのが望ましいとされています。