ネオ・メルカゾール5mgは、主に甲状腺機能亢進症の治療に使用される薬で、ほかに甲状腺機能亢進症における甲状腺摘出のための準備や、放射性ヨウ素療法の前後にも使用されることもあります。
甲状腺は喉元にある器官で、ここからエネルギー代謝や循環、内分泌機能、生殖などを調節する甲状腺ホルモンを分泌します。正常な状態であれば、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモンの作用によって適度な分泌量になるようにコントロールされていますが、何らかの原因によりこのホルモンが過剰に分泌されると、全身の新陳代謝が異常に高まり、さまざまな症状が現われます。これが甲状腺機能亢進症です。
甲状腺機能亢進症の大部分を占めるのが、血液中に自分の甲状腺を攻撃する物質(自己抗体)ができるために甲状腺が肥大し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ(氏)病で、そのほかブランマー病、甲状腺炎などがあります。
甲状腺ホルモンが多くなると新陳代謝が活発になることから、体が常に運動している状態と同じになり、激しい脈拍、手や体の震え、食欲増進、情緒不安定、不眠などといった症状が現われます。いずれにしても、甲状腺機能亢進症では甲状腺が大きくはれるため、比較的発見しやすい病気だと言えます。
通常、甲状腺機能亢進症の治療は、抗甲状腺薬治療、手術、アイソトープ治療(放射性ヨウ素療法)の3種類があり、最初に薬物治療を行なうのが一般的です。
その抗甲状腺薬のひとつが、カルビマゾールを有効成分としたネオ・メルカゾール5mgで、甲状腺ホルモンの分泌を抑える働きをします。
カルビマゾールは、体内に吸収されるとメチマゾールという物質に変換されます。このメチマゾールは甲状腺のペルオキシダーゼという酵素を阻害して、甲状腺ホルモンの生合成を抑制することで分泌を抑えます。またその効果は、同じく甲状腺機能亢進症の治療に使用されるプロピルチオウラシルと比較して10-15倍以上とも言われ、さらに効果の出現が早い、効き目が長い、服用量が少ないなどの特長があります。
甲状腺機能亢進症の治療目的以外にも、カルビマゾールは甲状腺摘出のための準備や、放射性ヨウ素療法の前後にも使用されることもあります。