デュタス・ティーは、前立腺肥大症の原因となる男性ホルモンの作用を抑制する成分と、排尿をスムーズにする成分を配合した、前立腺肥大症の症状を改善する薬です。
前立腺は男性のみにみられる生殖器のひとつで、膀胱の真下から尿道を取り囲むように存在しています。 その機能については、精子の保護作用と、精液の15-20%を占める前立腺液の分泌程度しか解明されていませんが、尿道がその中央を貫いていることから、排尿のコントロールにも大きく関与していると考えられています。
この前立腺が肥大し、尿道や膀胱を圧迫した状態が前立腺肥大症です。50代くらいから徐々に増加し、60代では50%以上、80代では90%の男性に認められる疾患で、主に残尿感、頻尿、尿意切迫感、尿線途絶、尿性低下、副圧排尿、夜間頻尿といった症状が生じます。前立腺そのものが未知の臓器であるため、その原因ははっきりとはわかっていませんが、一説では男性ホルモンであるテストステロンがその発症に大きくかかわっていると言われています。
テストステロンはその約95%が睾丸から分泌される男性ホルモンで、男性器の形成と発達、およびいわゆる男らしさを発達させる二次性徴において欠かせない役割を果たしています。また同時に前立腺の活動にも大きく影響を与えていると考えられており、そのひとつが前立腺の成長のコントロールです。
テストステロンの分泌は加齢に伴って減少し、その生理活性を維持するために前立腺はテストステロンを積極的に取り込むようになります。 取り込まれたテストステロンは、前立腺細胞内に存在する5αリダクターゼという酵素によってその活性型のジヒドロステロンに還元され、細胞の核内にあるアンドロゲン受容体と結合して前立腺細胞が増殖すると、前立腺肥大が発症するとされています。
この5α(アルファ)リダクターゼの働きを阻害するのが、デュタス・ティーの有効成分のひとつであり、5αリダクターゼ阻害薬に属するデュタステライドです。5αリダクターゼには1型と2型があり、このうち1型は前立腺、陰毛、わき毛、ひげ、頭髪、肝、副腎、腎、皮脂腺、後頭部などに、また2型は前頭部、前立腺、貯精嚢、睾上体、肝臓、毛嚢などに存在していますが、デュタステロイドはこの両方に働きかけ、テストステロンと競合的に5αリダクターゼと結合して安定した酵素複合体を形成することで、その作用を阻害します。
またもうひとつの有効成分であるタムスロシンはα1(アルファ1)受容体遮断薬です。α1受容体は前立腺や尿道の筋肉に数多く存在し、自律神経からの指令を受けて前立腺の平滑筋を収縮させることで、排尿や蓄尿をコントロールしています。前立腺の平滑筋が収縮すると尿道抵抗が大きくなるために尿の出が悪くなるので、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療には、前立腺や尿道の筋肉を弛緩させることが必要になります。
タムスロシンは、このα1受容体に選択的に結びついてその働きを遮断し、肥大化した前立腺の筋肉に作用して尿道を拡げることで尿の出をスムーズにし、排尿障害の症状を緩和させます。そのほかにも畜尿時にはぼうこうの過活動を抑制する作用もあり、日中や夜間の頻尿を軽減させて残尿感や頻尿の症状も改善します。
これら二つの成分の相互作用により、デュタス・ティーは前立腺肥大に伴うさまざまな症状を効果的に改善し、正常な排尿を促すように働きかけます。