テノベートはプロピオン酸クロベタゾールを有効成分とするステロイドの外用薬で、皮膚炎や円形脱毛症によく利用されます。
テノベートは乾癬(かんせん)、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、発汗異常性湿疹、貨幣状湿疹、うっ滞性皮膚炎、扁平苔癬、尋常性白斑などに効果があります。テノベートには、湿疹やアトピー性皮膚炎などの炎症やつらいかゆみ、赤みやはれを和らげる強い作用があります。
ステロイドは円形脱毛症にも効果があるといわれ、抜け毛の治療にも使われています。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種と考えられており、この異常な自己免疫の活動を抑制するためにステロイドが用いられていますが、その原因はまだはっきりとは解明されていないため、現在は対処療法となっています。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)とは副腎から分泌される代表的なホルモンで、コルチゾールとも呼ばれています。コルチゾールは糖や脂肪の代謝系に働いたり、体液の維持、免疫系の調整など大事な役目をしています。
アトピーなどの治療には、抗炎症作用を強めた合成のステロイド外用薬が使われています。患部に直接作用するので、飲み薬のような全身性の副作用がほとんどないのが利点です。
ステロイド外用薬の強さは、強い順に1群から5群の5段階に分類されます。
1群: 最強(strongest)
2群: 非常に強力(very strong)
3群: 強力(strong)
4群: 中程度(medium)
5群: 弱い(weak)
通常これら強さの違うステロイドを、症状や体の部位により適切に使い分けます。
テノベートの有効成分であるプロピオン酸クロベタゾールは、ステロイドの中でもいちばん強力な1群に属するために症状の重いときに用いるほか、苔癬(たいせん)化した湿疹など皮膚が厚くなっている部分に適します。
顔など皮膚の薄いデリケートな患部には使用しないで下さい。
尿素などと混ぜて調合することもよくあります。この場合、濃度が薄まりますので、その分、効力がマイルドになります。
基本的に効力の強いものほど副作用が出やすく、より慎重に用いる必要があります。 症状がひどいときは、まず強力なステロイドを炎症の“火消し役”として用い、その後、順次弱いものに切り替えていく事があります。
顔はステロイドに敏感なので、特殊な場合を除きなるべく使わないようにして下さい。どうしても用いる場合は、弱めのものにする必要があります。一般的には「強力~弱い」の範囲で短期間にとどめます。