ダフロン500mgは、慢性静脈不全における脚のむくみ、痛み、熱感、夜間のひきつりなどのほか、慢性および急性の痔核症状の治療に使用される薬です。
慢性静脈不全は、静脈の流れが慢性的に悪くなることで血液がうっ滞し、静脈血が心臓に送られにくくなるために下半身を中心にさまざまな症状が現われる疾病です。
この慢性静脈不全を引き起こす原因のひとつに、深部静脈血栓症(DVT)があります。脚には皮膚の下の脂肪層にある表在静脈と筋肉内にある深部静脈が通っており、このうち深部静脈は主にふくらはぎの筋肉と血管弁の働きにより血液を上方へ送るという重要な役目を持っています。ところが同じ姿勢を長時間続けたり、医療行為における静脈の損傷、脱水症状、妊娠などが原因となって深部静脈に血栓ができることがあります。これを深部静脈血栓症と言い、血行が悪くなるためにしびれやむくみ、痛みなどを引き起こします。
これ以外に、下肢静脈瘤も慢性静脈不全の大きな原因です。下肢静脈瘤は男性よりも女性に多くみられる血管疾患で、成人女性の約43%に認められています。運動不足や立ち仕事などの要因により血管弁に異常が起こるために、本来であれば逆流しないはずの血液が逆流して脚の静脈に血が溜まり、血管が拡張します。そのため外見的にコブのようになり、足のむくみ、血管がデコボコに浮き出る、足がつる、足が重くなるなど、さまざまな症状が現われます。一度壊れた血管弁は自然修復しないため、下肢静脈瘤も自然治癒しません。
深部静脈血栓症を放っておくと血栓が血流に乗って肺に送られ、肺塞栓症を起こして呼吸困難や心肺停止の原因になることがあり、また下肢静脈瘤は皮膚炎、潰瘍、色素沈着などを誘発することがあります。
一方、痔核はイボ痔とも呼ばれる痔で、肛門部周辺にある痔静脈という静脈が圧迫され、血液の流れが滞るなどによってコブができることで発生します。
人類が二本足で直立するようになって以来、肛門は常に心臓より低いところに位置しているため、痔静脈への圧力が高くなっています。そのため、立ちっぱなしや座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢を続けていると痔静脈への圧力がさらに高くなり、痔核が起こりやすくなると言われているほか、年齢、遺伝、食習慣なども関係していると考えられています。
痔核は、その発生する位置により外痔核と内痔核に分かれ、外痔核の場合は痛みを伴いますが、内痔核の場合はほとんど痛みがありません。しかし症状が進行していくにつれて痔核が肛門の外にまで出てくるようになり、痛みを感じるようになります。
慢性静脈不全と痔核のいずれも基本的には静脈の血流が原因であり、静脈の状態を改善することが治療のポイントになります。ダフロン500mgは静脈を強化するだけでなく、抗炎症作用などを発揮することで慢性静脈不全の症状や痔核を効果的に治療する薬です。
ダフロン500mgの有効成分のジオスミン/ディオスミンは、柑橘類から抽出されるほか、ビタミンの仲間でありミカン由来のポリフェノールでもあるヘスペリジンからもつくられるフラボノイドのひとつです。血行を促進して毛細血管を強くする以外にも、毛細血管の適度な透過性を保つ働きがあるとされているだけでなく、優れた抗炎症作用や抗酸化作用により慢性静脈不全の症状や、痔核に伴う肛門の痛み、はれ、不快感を効果的に抑えます。