スロムボフォブ・ジェルは有効成分を抗血液凝固剤であるへパリンナトリウムする外用薬で、表在性血栓静脈炎の治療薬として、また、溢血斑を取り除いたりケロイドや打撲・捻挫による局所の腫れや痣・痛みの改善に用いられています。
血栓とは外傷などによって血管が損傷を受けた時に血管内に形成される血の塊のことで、損傷部を塞ぐことによって止血、及び損傷部を修復する役割があります。
この血栓の形成に伴う凝血や血流の悪化によって静脈に引き起こされる炎症が血栓性静脈炎と呼ばれるもので、体の表面の静脈に発症する表在性血栓静脈炎と体の深部の静脈に発症する深在性血栓静脈炎とに分類されています。
深部血栓性静脈炎は静脈に引き起こされる炎症が弱いため、形成された血栓が剥がれ落ちやすく、剥がれ落ちた血栓が動脈に入り込み、肺栓塞といった重篤な症状を引き起こす可能性が懸念されますが、一方の表在静脈炎においては、形成される血栓が小さく、また比較的強い静脈の炎症が起こるため、血栓が静脈に癒着し、剥がれ落ちにくくなることから、致命的な栓塞症を引き起こす可能性は低いとされています。
表在性血栓静脈炎の症状は比較的軽症である場合が多く、数週間で自然治癒するとされています。
しかし炎症を起こした部位が赤く固く腫れあがり、痛みを伴うことから、大抵の場合は鎮痛薬や圧迫包帯などによる治療が用いられています。
また、場合によっては発熱や悪感といった全身症状を伴う場合もあるうえ、炎症が体の深部静脈にまで及び、肺栓塞などを引き起こす可能性もあるので注意が必要とされています。
有効成分・へパリンナトリウムは血液凝固因子であるトロンビンやフィブリンの活性化を阻害し、血液凝固を阻止します。既に形成されている血栓を溶解する作用はありませんが、血栓の形成や形成された血栓が大きくなることを妨げる作用を発揮します。
また、鎮痛作用や抗酸化作用による痛みの緩和に優れるだけでなく、結合組織の柔軟性や強度を増強する作用もあるとされていることから、病変部の治癒を効果的に促進するとされています。