ジルゼム30mgは、中等度から重度のアテローム性冠動脈疾患や冠動脈れん縮が原因で起こる狭心症の治療薬です。
冠動脈は、心臓の筋肉に酸素と栄養を与えている血管で、心臓を取り囲むように走っています。ところが長い年月の間に、アテロームと呼ばれる脂肪やコレステロールなどのドロドロした物質が動脈内に付着し、蓄積していくことで冠動脈の血管内が狭くなることがあります。これにより、一時的に充分な血や酸素が心臓に送られなくなり、胸痛、胸部圧迫感などを伴う虚血性心疾患を、アテローム性冠動脈疾患と呼びます。
また、この冠動脈がけいれんを起こした状態が冠動脈れん縮で、血液の通り道が急激に細くなるために一時的に血流が悪くなります。
このように動脈硬化やれん縮などにより、心臓に充分な血液と酸素が送られなくなることが原因となって起こるのが狭心症です。胸部や背部から左肩、左腕にかけて生じる痛みや不快感、胸の締め付け、圧迫感などを主症状とし、場合によっては呼吸困難、息切れ、発汗、吐き気、意識障害などのほか、のど、あご、腕、ひじ、歯などが痛くなることもあるようです。
狭心症は、その起こり方によっていくつかのタイプに分けることができます。
いちばん一般的なタイプは、階段の上り下り、急ぎ足、興奮したときやストレスを感じたときなどに症状が現われる労作狭心症です。発作時間は30秒から15分程度で、一過性のために安静にしていれば症状が落ち着くのが特徴です。
一方、安静にしていても起こるのが、安静狭心症とも呼ばれる自発性狭心症です。安静時だけでなく、夜間や睡眠中に発作が5-15分程度続きます。原因の約半分は、血管がけいれんのような状態を起こすことよる血流量の減少とされています。そのため、この状態がおさまれば自然と胸の痛みもなくなります。
そのほかにも、比較的軽度な発作がある程度周期的に起こる安定性狭心症、その反対に発作の起こり方や症状の程度、痛みが発生する場所などが一定でない不安定性狭心症などがあります。
狭心症の治療は、狭窄症を起こしている血管の拡張を目的とした内科治療、または外科治療が行なわれるのが一般的です。内科治療では血栓除去効果を持つ血栓溶解剤やアスピリンなどのほか、ジルゼム30mgのように血管を拡張させる薬が使用されます。
血管壁の細胞にカルシウムイオンが流入すると、血管が収縮し血圧が上がりますが、ジルゼム30mgの有効成分であるジルチアゼムはこの作用を抑制することで血管を拡げて肝不全の症状を改善し、末梢血管を拡張する作用により血圧を下げる働きをします。
特に冠動脈拡張作用と冠れん縮の防止効果が優れており、また心拍数の低下作用を持ち、心筋酸素消費量を抑制することから、労作狭心症および安静狭心症のいずれに対しても効果を発揮するのが特長です。