ケープガード(カペシタビン)500mgは経口抗悪性腫瘍剤です。手術不能ながんや乳がんをはじめ、胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)などの消化器がんにも有効であるほか、大腸がんの手術後の補助療法や再発予防目的としても使用されます。
体中の細胞は、毎日あらゆる場所で寿命を迎え、また新しくコピーすることでほかの細胞と入れ替わりながら、約60兆個ある細胞数を一定に保持しています。 このコピー段階で発生した異常な細胞ががん細胞で、1日に2000から3000個が発現していると言われていますが、通常は体内で正常な免疫機能が働くために、これらの異常細胞は消滅します。ところが何らかの原因により体の免疫力が低下し、この異常な細胞を完全に消滅させることができなくなると細胞が無制 限に増殖し、侵潤、転移を繰り返しながら全身に広がることで正常な生体機能の破たんや多臓器不全を引き起こし、やがて個体の死を招くがんへと至ります。
がんの治療には、外科療法、化学療法、放射線療法の3大治療が行なわれますが、中でも化学療法においては抗がん剤の強い作用が正常細胞にまで影響を与えて しまうことに加え、長期にわたる使用による深刻な副作用の問題などが挙げられます。そのため、副作用の抑制と抗腫瘍効果の増大をはかるために多剤併用療法が試みられているのが現状です。
古くから使用されている抗がん剤に5-FU(5-フルオロウラシル)という薬があります。これは細胞の遺伝情報を持つDNAが作られるのを妨害してがん細 胞の分裂増殖を抑える薬で、特に消化器がんには有効と言われていますが、作用時間が短く、副作用が強いという問題がありました。このデメリットを改良した 薬がケープガード(カペシタビン)500mgです。
有効成分のカペシタビンは体内で3つの段階を経て代謝されて5-フルオロウラシルに変換されるプロドラッグです。腫瘍細胞に存在する酵素で最終的に代謝さ れるためにほかの細胞に対して作用しにくく、従来の5-FUと比較して副作用が少なくてすみます。また通常であれば成分は数十分で体内から排出されてしま いますが、カペシタビンの場合は段階的に代謝されていくため長時間にわたり体内で抗がん作用を示すのも特長のひとつです。
なお、カペシタビンの使用により約50%の確率で手や足の細胞が障害される手足症候群の副作用が認められています。服用中に症状が認められた場合はその部 位にできる限り刺激を与えず、安静を保つようにしてただちに医師の診断を受けてください。手足症候群は正気段階のうちに対処すれば、一般的には症状が改善 されます。