クローシグ眼軟膏1%は、細菌性結膜炎や目の感染症の治療薬です。
結膜とは、白目と上下まぶたの裏にある薄い透明な粘膜のことで、眼球をスムーズに動かせるようにムチンという涙の成分を作り、眼を乾燥から守る役割をしています。
さらに眼の表面を、外からの刺激や微生物の侵入に対応できるよう、免疫感染装置も備えています。
この結膜が何らかの原因で炎症を起こすことを結膜炎と言います。結膜炎はその原因から分類して、アレルギー性、ウイルス性、細菌性に分けられますが、クローシグ眼軟膏1%はこのうち細菌性結膜炎に対して優れた効き目を現わします。
細菌性結膜炎は、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、肺炎球菌、α(アルファ)またはβ(ベータ)溶血性連鎖球菌、緑膿菌、レンサ菌、腸球菌、インフルエンザ菌などの細菌感染が原因で起こる結膜炎で、ゴミが目に入ったり、汚れた手で目をこすることで起こります。
このほかに以前は出産時に産道感染するケースが多く、現在は性行為での感染が増えた淋菌やクラミジアによる感染などもあります。
結膜には無数の毛細血管が集まっており、ここに細菌が侵入して炎症が起こると、その細菌を攻撃するために血管が太くなります。
これが充血の原因です。さらにこの細菌を攻撃するために集まった白血球やリンパ球の残骸が目やにとして出てきたり、まぶたの裏にろ胞(粒状のブツブツ)ができたりします。
通常、1-3日の潜伏期の後にこれらの症状が現われてきます。淋菌性結膜炎の場合は膿性の目やにが特徴で、極めて急速に進行して角膜潰瘍を起こし穿孔することもあり、またクラミジア結膜炎は慢性の経過をたどり、瘢痕形成する場合があり、眼球乾燥症を合併することもあります。
細菌性結膜炎のほとんどは他人には感染せず、また大抵の場合は抗生物質の使用で治癒するという特長があります。
クローシグ眼軟膏1%の有効成分であるクロラムフェニコールは、細菌のたんぱく質合成を阻害することで、細菌の増殖を抑制する働きを持つ広域抗生物質です。
細菌には自分の体を守るための「細胞質」があり、そこには細菌が生きるために必要なたんぱく質を作るリボゾームという物質があります。
基本的にたんぱく質は20種類のアミノ酸の結合によって構成されていますが、それぞれのアミノ酸はそれを運搬するtRNAと結合し、アミノアシルtRNAという結合体を形成し、その配置によってたんぱく質が合成されます。
クローシグ眼軟膏1%の有効成分であるクロラムフェニコールは、細菌の50Sリボゾームと呼ばれるサブユニットに結合し、たんぱく質構成要素であるアミノアシルtRNAの50Sリボソームへの結合を阻害します。
このことにより細菌がたんぱく質を合成できなくなることから、結果として細菌の増殖が抑制させられることになります。