クリノン8.0%は、月経周期および妊娠・出産に重要な役割を果たしているプロゲステロン補充のクリームです。
プロゲステロンは黄体ホルモンとも言われ、卵巣の黄体(排卵後の卵胞)から分泌され、エストロゲン(卵胞ホルモン)と共に月経周期と妊娠に深くかかわっているホルモンです。
エストロゲンは卵巣の卵胞から分泌されるホルモンで、主に卵胞内の卵の成熟と排卵を促し、また受精卵の着床に向けて子宮内膜を厚くする作用があります。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は排卵後に子宮内膜を肥厚化し、栄養を蓄え、受精卵が内膜へ着床しやすい状況を整える作用があります。
妊娠が成立した場合には、エストロゲンの排卵作用を抑制し、妊娠を維持する作用を発揮しますが、妊娠が成立しなかった場合は黄体が自然に委縮することにともない、その分泌量が減少します。
このプロゲステロンの分泌量の減少によって子宮内膜が剥がれ落ち血液と共に月経と言った形で排出されます。
エストロゲンと、プロゲステロンは女性の生殖機能に大きくかかわるため別名「妊娠ホルモン」と呼ばれるほど妊娠には欠かせないホルモンです。
そのためこのどちらか一方が欠乏などの問題でうまく分泌されないと、妊娠の確率がかなり低くなり、不妊症の一因となることが証明されています。
プロゲステロン欠乏の一因として、黄体機能不全が挙げられます。
血中のプロゲステロン値が10ng/ml未満とされる状態で、子宮内膜の厚さが受精卵の着床に不充分であったり、基礎体温の高温期が卵の成熟に不適切な状態を招き、不妊症の原因になるとされています。
クリノン8.0%の作用機序については明らかでない点もありますが、膣内に注入されたプロゲステロンが膣壁から吸収されそのまま子宮に到達し、子宮内のプロゲステロン受容体と結合し、子宮内膜や子宮筋の働きの調節や体温上昇など妊娠に必要な状況を整える作用を発揮すると言われています。
また日本のホルモン治療で広く使用されている錠剤や注射と比べて、効果も高く副作用も少ないと言われており、プロゲステロンをジェルで補う不妊治療は欧米では10年以上にわたって行なわれています。
またクリノン8.0%の主成分であるプロゲステロンは不妊治療以外にも妊娠を維持する作用があるとされ、流産を予防するために着床後も引き続き補充することが推奨されています。
そのほか、女性ホルモン減少に起因する更年期障害の症状を和らげるとして、更年期障害の治療にも使用されることがあります。
クリノンは生体接着ジェルで、アプリケーターを用いて1日1回膣内に注入します。膣内に注入されたジェルは膣内壁から吸収された後に子宮へ直接到達するため、錠剤や注射よりも確実な効果が期待できます。