クリオバンス1mg/0.5mgは、女性の更年期および卵巣機能の低下に伴って見られるのぼせ、ほてり、冷えなどの血管運動神経系の症状を緩和する経口剤です。
女性ホルモン(エストロゲン)は、卵巣の中にある卵胞で産生されており、女性が閉経近くになるとエストロゲン分泌量が徐々に低下するために、卵巣の働きが衰えて生理周期が不順になったり、不正出血などの症状が起こり、いずれ閉経を迎えます。この閉経平均年齢は、日本人女性で約51歳と言われており、この前後10年の40代半ばから50代半ばの期間が更年期と呼ばれています。
一方で、脳はエストロゲンの分泌量低下を感知し、卵胞刺激ホルモンを分泌して、エストロゲンの分泌を促そうとしますが、卵巣にはその刺激に反応する力があまり残っていないために、卵胞刺激ホルモンの増加とエストロゲンの減少というホルモンバランスの乱れが起こります。
このホルモンの乱れが自律神経の働きに影響を与え、のぼせやほてり、憂うつ、肩こり、腰痛、易疲労感、発汗、冷え性、睡眠障害などの更年期障害となって現れます。個人によって、症状の出方、強さ、期間はかなり差がありますが、更年期の女性の60%から70%に何らかの症状が出ているとされ、症状がひどく、本格的に治療を行なわなければならない人は、更年期の女性の約20%と言われています。
更年期障害の治療方法として広く行なわれているのが、ホルモン療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)で、不足しているエストロゲンを補い、更年期障害を緩和する方法です。
クリオバンス1mg/0.5mgは、有効成分の17-エストラジオールが不足しているエストロゲンを補充し、血管運動神経系の乱れから来る、発汗、のぼせ、冷え性などの症状を緩和します。ただしエストロゲンは、もともと細胞の増殖を促進する働きを持つため、エストロゲンのみを補充し続けると子宮内膜の増殖を刺激し、それが子宮体がんの発生へとつながる可能性があります。
この問題を回避するには、子宮内膜の増殖を抑える役割をする黄体ホルモン(プロゲステロン)を同時に摂取することで、子宮体がんの危険性を取り除く事できるとされています。実際に、エストロゲンを単独で服用すると、がんの発生率は2倍から10倍になるとも言われています。
クリオバンス1mg/0.5mgは、17-エストラジオールに加えて酢酸ノルエチステロンを配合することで、プロゲステロンも同時に補充することができ、子宮体がんの発生率を軽減させる働きがあるとされています。
17-エストラジオールは、天然型エストロゲンのうち最も生理活性作用が高く、核内受容体であるエストロゲン受容体α、βと結合して、ホルモンのバランスを整えます。また、女性ホルモン治療の一環として、皮膚や粘膜の乾燥や萎縮、骨粗しょう症、コレステロール値の上昇などにも改善効果があると言われています。