クリアリン点眼液0.01%は、表在性充血を改善する目薬です。ただし対症療法であるため、通常はその原因そのものを治療する薬と併用します。
結膜には無数の毛細血管が集まっており、普段は外から目立って見えることはありませんが、何らかの原因によりこの血管が膨らみ、目の表面が赤く見えるようになります。このような状態を充血と言います。目が充血する原因として、目にゴミなどが入る、あるいはアレルギー物質や細菌などの刺激を受け、結膜がこれらの異物を排除しようとして炎症反応を起こす結果、目の血管が膨らみます。
炎症以外でも充血は起こります。例えば、長時間パソコンやテレビの画面を見つめる、寝不足が続くなど目を酷使する状況や、目の休息を充分に取っていないような場合では、目は疲労を回復しようとして酸素や栄養をより多く取り込もうとします。そのため、目の血流量が増え、血管が膨らむことによって充血が起こります。これらの充血が眼の表層に起こった状態が、表在性充血です。
目の充血の治療は、その原因を取り除くことが治療の根本ですが、一時的な充血症状の改善であれば、拡張した血管を収縮させることで解決します。そのための目薬がクリアリン点眼液0.01%です。クリアリン点眼液0.01%の有効成分であるナファゾリンは、α-アドレナリン受容体に直接作用することで血管収縮作用を発揮します。
アドレナリンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、神経伝達物質でもあります。交感神経の作用が高まると血中に放出され、アドレナリン受容体と結合することによって、血圧や血糖値の上昇・心拍数の増加、気管支拡張など、さまざまな作用を引き起こします。アドレナリン受容体にはαとβがあり、それぞれに異なる作用を発揮しますが、このうちα受容体は主に血管平滑筋細胞に分布し、血管収縮、泌尿生殖器平滑筋の収縮、グリコーゲン分解、胃腸管平滑筋の過分極と弛緩、心臓の収縮力増大などに関与しています。
ナファゾリンは、血管平滑筋のαアドレナリン受容体を刺激することで血管を収縮させ、充血を抑えます。またアドレナリンよりも強い末梢血管収縮作用を持ち、さらに作用持続時間が長いという特長も持ってます。
しかしながら、クリアリン点眼液0.01%は一時的に目の充血を改善するだけであって、充血そのものの原因を治療するわけではありません。従って、通常は単独では使用されず、充血の根本を治療する薬と併用されます。