以下の場合、カーロック6.25を絶対に服用しないでください。
・気管支喘息、気管支けいれんのおそれのある人: 気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがあります。
・糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある人: 心筋収縮力の抑制が増強されるおそれがあります。
・高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロックのある人: 症状が悪化するおそれがあります。
・心原性ショックの人: 循環不全症が悪化するおそれがあります。
・非代償性の心不全の人: 心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがあります。
・肺高血圧による右心不全のある人: 心拍出量が抑制され症状が悪化するおそれがあります。
・未治療の褐色細胞腫の人
・妊婦または妊娠している可能性のある人
・カーロック6.25の成分に対し過敏症の既往歴のある人
【警告】
慢性心不全の人が服用する場合は、慢性心不全治療の経験が充分にある意志のもとで使用してください。
【慎重服用】
・特発性低血糖症、コントロール不充分な糖尿病、絶食状態、栄養状態が不良の人: 低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすいので血糖値に注意してください。
・糖尿病を合併した慢性心不全の人: 血糖値が変動するおそれがあります。
・重篤な肝機能障害のある人: 血中濃度が上昇するので、服用量を減ずるか服用間隔をあけて使用してください。
また肝機能が悪化するおそれがあります。
・重篤な腎障害のある人: 血中濃度の上昇が報告されています。
また、特に慢性心不全の人では、腎機能が悪化するおそれがあります。
・房室ブロック(I度)のある人(レイノー症候群、間欠性跛行症など): 末梢血管の拡張を抑制し、症状を悪化させるおそれがあります。
・過度に血圧の低い人: 血圧をさらに低下させるおそれがあります。
・高齢者: カーロック6.25は主として肝臓で代謝される薬剤であり、重篤な肝機能障害の人で血中濃度の上昇が認められています。
高齢者では肝機能が低下していることが多いため血中濃度が上昇するおそれがあり、また過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞などが起こるおそれがあるため)ことから、高齢者が服用する場合は低用量から服用を開始するなど、状態を充分に観察しながら慎重に服用するのが望ましいとされています。
特に高齢の重症慢性心不全の人は、カーロック6.25による副作用が生じやすいので注意してください。
【重要な基本的注意】
・服用が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線など)を定期的に行なってください。
また徐脈となったときおよび低血圧を起こした場合には、ショックに至る例も報告されているので、観察を充分に行ない、カーロック6.25を減量または中止してください。
必要に応じてアトロピン、ドブタミン、イソプロテレノール、アドレナリンなどを使用してください。なお、肝機能、腎機能、血液像などの注してください。
・狭心症などの虚血性心疾患のある人において、カーロック6.25の服用を急に中止した場合は、狭心症発作の頻発・悪化、まれに心筋梗塞、および短時間に過度の突然の血圧上昇を起こす可能性があるので、中止を要する場合は原則として1-2週間かけて段階的に減量し、観察を充分に行なってください。
虚血性心疾患以外の人についても同様の注意をしてください(特に高齢者)。また医師の指示なしに服薬を中止しないでください。
・手術前48時間は服用しないことが望ましいとされています。
・甲状腺中毒症の人が急に服用を中止すると、症状を悪化させることがあるので中止を要する場合は原則として1-2週間かけて段階的に減量し、観察を充分に行なってください。
・慢性心不全の場合
1)重症慢性心不全の人に対するカーロック6.25の服用は特に慎重な管理を要するので、カーロック6.25の服用初期および増量時は入院下で行なってください。
2)左室収縮機能障害の原因解明に努めてください。可逆的な左室収縮機能障害については、原因除去あるいはほかの治療も考慮してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・褐色細胞腫のある人は、単独服用により急激に血圧が上昇するおそれがあるので、α遮断薬で初期治療を行なった後にカーロック6.25を服用し、常にα遮断薬を併用してください。
・慢性心不全を合併する本態性高血圧症、腎実質性高血圧症または狭心症の人では、慢性心不全の用法・用量に従ってください。
・慢性心不全の場合
1)慢性心不全の人が服用する場合には、必ず低用量の分割服用から開始し、忍容性および治療上の有効性をもとに個々に応じて維持量を設定してください。
服用開始時や服用量の増加に伴って、服用後1時間以内に一時的なめまいやふらつき(まれに卒倒)といった症状があらわれることがあります。
通常、血管拡張作用によるこのような症状に対する治療は必要とされませんが、カーロック6.25とアンジオテンシン変換酵素阻害薬を異なる時間帯での服用したり、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の服用量を減量したりすることはこのような症状の発現を避けるのに有効であるとされています。
また、カーロック6.25の服用量を、慢性心不全の増悪の兆候や血管拡張作用が安定しないうちに増量することは避けてください。
2)カーロック6.25の服用初期および増量時は、心不全の悪化、むくみ、体重増加、めまい、低血圧、徐脈、血糖値の変動および腎機能の悪化が起こりやすいので、観察を充分に行ない、忍容性を確認してください。
3)カーロック6.25の服用初期または増量時における心不全や体液貯留の悪化(むくみ、体重増加など)を防ぐため、カーロック6.25の服用前に体液貯留の貯留を治療を充分に行なってください。
心不全や体液貯留の悪化がみられ、利尿薬増量で改善が見られない場合にはカーロック6.25を減量または中止してください。
低血圧、めまいなどの症状がみられ、アンジオテンシン変換酵素阻害薬や利尿薬の減量により改善しない場合には、カーロック6.25を減量してください。
高度な徐脈を来たした場合には、カーロック6.25を減量してください。また、これらの症状が安定化するまでカーロック6.25を増量しないでください。
・カーロック6.25を中止する場合には、急に服用を中止せず、原則として段階的に半量ずつ、1日2回まで、1-2週間かけて減量し、中止してください。
・2週間以上休薬した後に服用を再開する場合には、低用量から開始し、段階的に増量してください。
授乳中の人は、服用中は授乳を避けてください。
小児などに対する安全性および有効性は確立していません。
また低出生体重児、新生児に対しては使用経験がなく、また乳児、幼児、および小児には使用経験がほとんどありません。
重症心不全のある幼児および小児において、カルベジロールBPの服用により重篤な低血糖症状が現われ、死亡に至った例も報告されています。