カービドンMR 35mgは、心臓の筋肉に酸素と栄養を与える役割を持つ冠動脈を拡げ、血流量を増やすことによって、狭心症や虚血性心疾患の症状を改善する薬です。
また抗血小板凝固作用を持つため、血液が固まるのを予防し、心筋梗塞などの発症を抑制する働きもあります。
虚血性心疾患は、冠動脈の閉塞や狭窄などにより心筋に充分な血液が行き渡らなくなることで心臓が酸素不足になり、心筋に障害が起こってしまう疾患の総称で、狭心症や心筋梗塞を引き起こす病気です。
狭心症や心筋梗塞は発作的な胸の痛みや圧迫痛を特徴としますが、心臓への酸素不足状態が一時的で回復するのに対して、心筋梗塞になると、血栓などにより冠動脈が完全に詰まり、血が流れなくなることで心筋が壊死を起こしてしまうため、心臓に大きな障害を残すこともあります。
血栓の原因のひとつがアテロームと呼ばれるコレステロールなどの脂肪物質です。
このアテロームが血管内に蓄積すると、血管の内腔が狭められ、部分的に血流が遮断されることになります。
また、蓄積されたアテロームが肥大化して形成された血栓や塞栓は、冠動脈のほかの部分の血流をも遮断することになり、さまざまな症状を引き起こします。
アテロームが蓄積する原因には、高血圧、高脂血、糖尿病、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など、生活習慣病因子が影響しているとされています。
また近年ではメタボリックシンドロームといわれる中性脂肪の蓄積も、狭心症の原因のひとつとして指摘されています。
現在のところ、狭心症や心筋梗塞などの原因そのものを治すことはできませんが、外科療法や薬物療法で症状の改善をすること可能です。
なかでも薬物療法では、主に冠動脈を拡張したり、心臓の働きを抑えることを目的としています。
カービドンMR 35mgは、冠動脈を拡げることで、これらの疾患の症状を改善する薬です。有効成分の塩酸トリメタジジンは、Ca2+チャネル遮断薬と作用が類似しており、血管拡張、 心仕事量減少、副血行路形成促進、心筋代謝改善、心筋保護などの作用を示すほか、血小板膜の安定化に基づく血小板凝集抑制作用も持っているとされています。
また副作用が少なく、比較的安全性の高い薬でもあります。