オルベスコは、主成分としてシクレソニドを含む気管支喘息のための吸入薬です。
気管支喘息とは、空気の通り道となる気管支が狭くなることで、呼吸がしづらくなり発作が起こる疾患です。気管支に炎症が起こっている状態であるため、ペットの毛やほこり、カビなどに反応しやすくなります。
気管支喘息の治療は、発作が起きているときと起きていないときでは使うお薬が異なります。発作が起きていないとき、つまり長期管理として使うお薬はステロイド吸入、長時間作用型のβ2刺激薬、抗アレルギー薬などが代表的です。
オルベスコの主成分であるシクレソニドは、ステロイド吸入薬の1つとして知られています。そのため発作時ではなく、発作が起きないようにコントロールしていくことが目的で使用されるお薬です。ステロイド吸入薬はコントロール時期の第一選択薬となり、気管支の炎症を抑えたりサイトカインやロイコトリエンなど症状を悪化させる物質の産生を抑制したりします。
ステロイド吸入薬を使用した後は、必ずうがいをしなければいけません。なぜなら口腔中に残ったステロイドが免疫力を低下させ、口腔カンジダなどの疾患を引き起こす可能性があるからです。またステロイド剤が残ったままにしておくと、声がしわがれてしまいます。そのためステロイド吸入薬を使った後はかならずうがいをしてください。どうしてもうがいができない場合は、口の中をすすいで残ったお薬を洗い流しましょう。
オルベスコを使用する際は、一旦息を軽く吐いてから吸い込むとうまくいきます。吸入したらそのまま5秒ほど息を止めてください。5秒経ったらゆっくり息を吐き出します。
β2刺激薬は、気管支を拡張させることで呼吸を楽にします。コントロール時は長時間作用型のβ2刺激薬を使うことが特徴です。
一方で発作が今まさに起きているときは、短時間作用型のβ2刺激薬がよく使われます。発作が起きて狭くなっている気管支をすぐに広げてあげる効果が期待できるのです。発作時にステロイドの吸入薬が使われないのは、すぐに気管支を拡張させる効果が期待できないことが理由となります。
日頃からステロイド吸入薬などで喘息をコントロールすることはもちろん大切ですが、ホコリっぽいところに行くときはマスクを着用したり、体調が優れないときにムリな運動をしないよう心がけたりなども大切です。発作を繰り返すことでリモデリングといって、気管支の壁が厚くなってしまうことが分かっています。そうなると発作が起きやすい状態になってしまうため、日頃からしっかりコントロールして対策を行うことが重要です。
近頃ではCOVID-19の患者にオルベスコを使用したところ、症状の改善が見られたとの報告もあります。オルベスコの主成分であるシクレソニドに、COVID-19のはたらきを抑える効果があると期待されているそうです。しかし現在のところ、まだ検証が進められている段階に過ぎません。エビデンスが不十分な状態であるため、臨床現場での使用は推奨されていない状態です。またオルベスコの適応は気管支喘息のみとなっているので、COVID-19の治療に使う場合は保険適用外となります。