【警告】
<全効能共通>
・エリキュースの服用により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがあります。エリキュースの使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、エリキュース使用の適否を慎重に判断してください。エリキュースによる出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、エリキュースの抗凝固作用を中和する薬剤はないため、エリキュースの服用中は血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血などの徴候を充分に観察してください。これらの徴候が認められた場合には、ただちに適切な処置を行なってください。
<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制>
・脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺などとの併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあります。静脈血栓塞栓症を発症した人が、硬膜外カテーテル留置中、もしくは脊椎・硬膜外麻酔または腰椎穿刺後日の浅い場合は、エリキュースの使用を控えてください。
【禁忌】
<全効能共通>
・エリキュースの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・臨床的に問題となる出血症状のある人: 出血を助長するおそれがあります。
・血液凝固異常および臨床的に重要な出血リスクを有する肝疾患の人: 出血の危険性が増大するおそれがあります。
<非弁膜症性心房細動の人における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制>
腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の人
<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制>
・重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)の人
【慎重服用】
・凝固能検査(プロトロンビン時間(PT)、国際標準比(INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTTなど)は、エリキュースの抗凝固能をモニタリングする使用とはならないため、エリキュース服用中は出血や貧血などの徴候を充分に観察してください。また、必要に応じて、血算値(ヘモグロビン値)、便潜血などの検査を実施し、急激なヘモグロビン値や血圧の低下などの出血徴候を確認してください。臨床的に問題となる出血や貧血の徴候が認められた場合には、エリキュースの使用を中止し、出血の原因を確認してください。また、症状に応じて適切な処置を行なってください。
・鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血および血便など、異常な出血の徴候が認められた場合、医師に連絡してください。
・ほかに抗凝固剤と併用する場合には、出血の徴候を充分に観察しながらエリキュースを使用してください。
・抗血小板薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用療法が必要とする人においては、出血リスクが増大することに注意してください。これらの薬剤とエリキュースの併用の可否については、エリキュースとの併用を開始する前に、リスクベネフィットを考慮して慎重に判断してください。
抗血小板薬2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、エリキュースとの併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用してください。
・ビタミンK拮抗剤(ワルファリン)からエリキュースへ切り替える際には、ビタミンK拮抗剤の使用を中止し、PT-INRが非弁膜症性心房細動の人で2.0未満、静脈血栓塞栓症の人では治療域の加減未満となってからエリキュースの使用を開始してください。
・エリキュースからビタミンK拮抗剤(ワルファリン)に切り替える際には、PT-INRが治療域の下限を超えるまでは、エリキュースとワルファリンを併用してください。
・ほかの抗凝固剤(注射剤)からエリキュースに切り替える場合、次回に使用を予定していた時間まで間隔をあけて、エリキュースの使用を開始してください。ただし、抗凝固剤(ヘパリンなど)の持続静注から切り替える場合は、持続静注中止と同時にエリキュースの使用を開始してください。
・エリキュースからほかの抗凝固剤(注射剤)へ切り替える場合は、次回に使用を予定していた時間まで間隔をあけて、切り替える薬剤の使用を開始してください。
・待機的手術または侵襲的手技を実施する人では、出血リスクと血栓リスクに応じて、エリキュースの使用を一時中止してください。出血に関して低リスクまたは出血が限定的でコントロールが可能な手術・侵襲的手技を実施する場合は、前回使用から少なくとも24時間以上の間隔をあけることが望ましいとされています。また、出血に関して中~高リスクまたは臨床的に重要な出血を起こすおそれのある手術・侵襲的手技を実施する場合は、前回使用から少なくとも48時間以上の間隔をあけてください。なお、必要に応じて代替療法(ヘパリンなど)の使用を考慮してください。緊急を要する手術または侵襲的手技を実施する人では、緊急性と出血リスクが増大していることを充分に比較考慮してください。
・待機的手術、侵襲的手技などによる抗凝固療法(エリキュースを含む)の一時的な中止は、塞栓症のリスクを増大させます。手術後は、臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから可及的速やかに再会してください。
・自己判断でエリキュースの服用を中止しないでください。エリキュースを服用し忘れた場合には、気付いたときにすぐに1回量を服用し、その後通常どおり1日2回服用してください。服用し忘れた場合でも一度に2度量を服用しないでください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制>
・ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症の人、または血栓溶解剤の使用や肺塞栓摘出術が必要な肺血栓塞栓症の人における有効性および安全性は確立していないため、これらの人に対してヘパリンの代替療法としてエリキュースを使用しないでください。
・下大静脈フィルターが留置された人におけるエリキュースの使用経験が少ないため、これらの人が使用する場合には、リスクとベネフィットを充分に考慮してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
<非弁膜症性心房細動の人における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制>
・次の基準の2つ以上に該当する人は、出血のリスクが高く、エリキュースの血中濃度が上昇するおそれがあるため1回2.5mg1日2回経口服用します。
1.80歳以上
2.体重60kg以下
3.血清クレアチニン1.5mg/dL以上
<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制>
・特に静脈血栓塞栓症発症後の初期7日間の1回10mg1日2回服用は、出血のリスクに充分注意してください。
・エリキュースの使用期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症の再発リスクおよび出血リスクを評価した上で決定し、漫然と継続使用しないでください。
【高齢者】
・一般に高齢者では腎機能が低下しアピキサバンの血中濃度が上昇するおそれがあるので、状態を観察しながら慎重に服用してください。非弁膜症性心房細動の人がエリキュースを使用する場合、特に80歳以上の人は腎機能低下(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)および体重(60kg以下)に応じてエリキュースを減少してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。
・授乳中の人は服用を避け、やむを得ず使用する場合は授乳を中止してください。
【小児など】
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性および有効性は確立していません。