エフ・エム・エル点眼薬0.1%は、目の炎症やアレルギー症状を抑えるステロイド点眼薬で、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎などの炎症性疾患や手術後の炎症になどに使われています。
炎症は、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原菌を体外に排出するための生体防御反応です。中でも眼をはじめとした脳、生殖器官などは、高次元の生命活動に必要であるため、侵入した抗原に対する免疫応答を積極的に抑制し、炎症をできる限り抑えることでこれらの臓器を保護するように働く免疫特権という特殊な性質があります。
例えば眼の機能を失うことは、高等動物にとって高度の生命活動の存続が危ぶまれることであり、さらに角膜内皮や網膜などは生体内で再生しないため、これらの臓器はほかの臓器と比べて炎症が生じにくいだけでなく、万一炎症が生じたとしても組織への損傷を最小限にとどめながら自然治癒することが多いとされています。
ところがこの眼の免疫特権が一旦破られてしまうと、その後は自己免疫や感染に関連した内眼炎が発生しやすくなり、またその炎症は重症で治りにくいことが証明されています。
結膜炎、麦粒腫、眼瞼炎、角膜炎などの炎症は、いずれも細菌をはじめ、ウイルスや真菌(カビ)に感染することで起こります。汚れた手で目をこする、コンタクトレンズの洗浄が充分でない、などの原因のほか、目にかかる前髪、化粧の際につけた角膜の傷などから細菌が入りこんで感染することが多く、結膜が感染すると結膜炎、角膜に感染すれば角膜炎と呼ばれます。
エフ・エム・エル点眼薬0.1%は、これらの炎症を鎮める作用を持つ点眼薬です。
有効成分のフルオロメトロンは、強力な抗炎症作用を持つステロイド化合物で、ほかのステロイドと比べて分解が早く、半減期も短いため、眼内に移行しにくい反面で眼圧上昇などの副作用が少ないという特徴があります。
アラキドン酸は、ホスホリパーゼA2という酵素の働きにより、炎症を引き起こす強力な仲介物質を作り出しますが、この働きを阻害する物質にリポコルチンがあります。フルオロメトロンは点眼後に黄体ホルモンの一種プロゲステロンに変化し、このリポコルチン合成を誘導することでホスホリパーゼA2酵素を阻害し、抗炎症作用を示します。
一般にステロイド薬剤は、その副作用が問題にされていますが、エフ・エム・エル点眼薬0.1%のステロイド含有率は低く、またフルオロメトロンは目の炎症部位のみで作用するため、全身性の副作用はほぼ起こらないと考えられており、比較的安心して使用できるステロイド点眼薬と言えます。