イフ・2点眼液は、アレルギー性結膜炎が原因で起こる、さまざまな症状の改善に使用される目薬です。
眼に起こるさまざまなアレルギー疾患は総称してアレルギー性結膜炎と呼ばれています。
日本眼科医会の調査によると、日本人の約15%の人がアレルギー性結膜炎と診断されたことがあり、また約2000万人がアレルギー性結膜炎にかかっていると推測され、さらにその原因のほとんどが花粉症によるものであると言われています。
アレルギーとは、体内に異物が侵入して来た際に、それを排除しようとして起こる免疫反応のひとつですが、細菌やウイルスなどの病原微生物に対して生じる反応とは違い、例えば花粉などといった本来であれば体に対して無害な物質(アレルゲン、或いは抗原)に対して反応を起こすのがアレルギーの特徴です。
そのためアレルギー反応の有無は人によって異なり、引き起こされる症状も千差万別です。
なぜアレルギーが起こるのかという詳しい原因についてはまだはっきりとはわかっていません。
しかし、一般的には大気汚染、ダニやほこりなどのハウスダストなどが何らかの原因に関わっているのではないかと考えられています。
アレルギーは1型から4型まで分類されますが、アレルギー性結膜炎は主に1型(即時型)アレルギー反応であるとされています。
1型アレルギー反応は、目や鼻などから体内に入り込んだアレルゲンに対して作り出された、IgE抗体(免疫グロブリン)と呼ばれる物質が、同一アレルゲンの再侵入時にヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどといった化学物質を放出し、また炎症細胞である好酸球などを刺激することによって発現します。
アレルギー性結膜炎は充血、目やに、涙眼といった結膜炎の症状と共に目の痒みを生じるのが特徴です。
これは動物の生体内に広く存在し、受容体と呼ばれる受け皿と結合することで血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの作用を起こすヒスタミンという物質の作用によるものですがアレルギー反応や炎症の発現はヒスタミンがヒスタミン1型受容体(H1受容体)と結合ことによるとされています。
ヒスタミンは免疫細胞の一つである肥満細胞に高濃度で存在しており、IgE抗体のアレルゲンとの反応によって放出されます。
この放出されたヒスタミンが結膜の神経や血管に存在するH1受容体と結合するのを阻害し、目のかゆみや充血を起こさないように作用するのがイフ・2点眼液の有効成分である塩酸オロパタジンです。
ヒスタミンH1受容体に選択的に強い拮抗作用を示し、受容体を遮断することによって結膜上皮細胞からインターロイキン- 6(IL6)、インターロイキン- 8(IL8)の遊離、産生を抑制する作用があるとされています。
インターロイキンは、免疫反応に関わるリンパ球の増殖や分裂を誘導するたんぱく質因子で、このうちインターロイキン- 6は炎症や免疫疾患の発症メカニズムに、またインターロイキン-8は炎症性細胞の活性化に関与しているとされています。
さらに、主作用となる抗ヒスタミン作用のほかにも、ヒスタミン、アラキドン酸、トロンボキサン、ロイコトリエンや、かゆみを誘発するトリプターゼや痛みの原因であるプロスタグランジンなどを含む化学伝達物質が遊離・産生されるのを抑制する作用も併せ持っているため、アレルギー性結膜炎が起こすさまざまな症状を抑えことができるとされています。