アロー・ロキシスロマイシン150mgは、経口吸収性や組織移行性に優れ、持続性の強い生体内抗菌力を示すマクロライド系の抗生物質です。
細菌が体内に侵入すると、その細菌は細胞に取り付いて細胞の栄養を吸収する一方で、毒を排出してその細胞を殺し、その後、自分とまったく同じコピーをつくり出して分裂・増殖し、人間にさまざまな病気をもたらします。この細菌の生存や増殖に必要不可欠な物質のひとつがたんぱく質です。
たんぱく質は、それぞれの細菌細胞のDNAにある遺伝情報を元に「リボゾーム」と呼ばれる細胞小器官で合成され、新しい細菌細胞をつくり出していきますが、この働きを阻害することで細菌の増殖を抑えるのがマクロライド系の抗生物質である、 アロー・ロキシスロマイシン150mgです。
有効成分のロキシスロマイシンは、黄色ブドウ球菌、大腸菌のリボゾームと1対1の割合で結合し、また大腸菌リボゾーム50Sサブユニットと特異的に結合するが30Sサブユニットには受容体部位を持たないことが認められ、従来のマクロライドと同様にリボゾームに対する結合、特に50Sリボゾームに作用することが確認されています。
ロキシスロマイシンはブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、アクネ菌、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に抗菌作用を示し、細菌に対してはその増殖を抑えたり(静菌)または一部の細菌には殺菌的に働きかけます。
一般にマクロライド系抗生物質は、抗生物質の中でも比較的副作用が少ないとされており、適応する細菌の幅が広いのが特徴です。 特にダニやしらみなどが媒介となって発疹チフスなどを発症させるリケッチア、性病のひとつであるクラミジアなどの細胞内寄生菌や、細胞壁を持たないマイコプラズマに対しては第一選択薬となることが多いようです。
さらに最近の研究によって、マクロライド系抗生物質には従来の抗菌作用のほかに、炎症性疾患の原因となるインターロイキン、ロイコトリエンといった物質の産生や、リンパ球の増殖の抑制などによる抗炎症作用があることが解明され、びまん性汎細気管支炎の治療に用いられているほか、抗ウイルス作用や血管新生作用なども報告されていることから、その新しい作用機序について研究が進められています。
セフェム系やペニシリン系抗生物質が登場して以来、マクロライド系抗生物質はあまり使用されなくなりましたが、これらの抗生物質では効かない病原微生物も出現するようになり、その病原微生物によって起こった感染症の治療薬として価値が見直されているほか、過敏症状のためにセフェム系抗生物質が使えない人に対する代替薬として用いられることもあります。
・適応菌種
ロキシスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、アクネ菌、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
・適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎