アマントレル100mgは、元来A型インフルエンザ感染症の治療薬として開発された薬剤ですが、治験の最中にパーキンソン病にも効果がある事が分かり、現在は主にパーキンソン病の治療薬として使用されています。
体の震えや強張りなどを抑え、体の動作をスムーズにする働きがあります。
パーキンソン病は、ヒトの脳内にある神経伝達物資・ドーパミン(ドーパミン)が不足し、副交感神経や運動神経の末端から放出される神経伝達物質・アセチルコリンが相対的に増加する事で、意識して自分の手足を動かそうとする随意運動時に、錐体外路と呼ばれる運動神経に障害をきたす神経変性疾患で、厚生労働省の特定疾患に指定されています。
10-80歳代と幅広く発症しますが、中年以降の発症率が多く高齢になるほど発症率と有病率が増加すると言われています。
症状は、運動症状と非運動症状の2つに分けられます。
運動症状には、安静時の振戦(特に指先のふるえ)・筋強剛・無動や寡動・姿勢保持反射(体がバランスを崩した時、転倒しない様にする反射)障害などの症状を指し、非運動症状とは精神症状、行動障害、睡眠障害、自律神経症状、消化器症状、起立性低血圧、食後性低血圧、発汗過多、あぶら顔、非尿障害・勃起不全などの症状を意味します。
パーキンソン病は運動症状を特徴とする疾患ととらえられていましたが、近年になって精神症状や自律神経症状を合併することが多いことが認識されています。
パーキンソン病は治癒することなく、またその進行を止めることもできないことから症状の緩和と同時に患者のQOL(Quality Of Life)の改善に治療の重点が置かれることとなります。
患者のQOL(Quality Of Life)の改善には非運動症状の的確な把握が欠かせないものとされています。
また、非運動症状はパーキンソン病の運動症状の発現以前から認められることもあるため、その診断によってパーキンソン病を発症前に診断する試みも始められています。