乾癬とは皮膚に鱗のような形をした湿疹ができ、皮膚が赤くなったり盛り上がったりフケのようなものができたりする疾患です。アプレゾ30 は乾癬のうち、尋常性乾癬と関節症性乾癬に適応を持ちます。尋常とは普通という意味を持ち、尋常性乾癬とは一般的な乾癬を指すものです。乾癬患者の約75%はこの尋常性乾癬だと言われています。関節症性乾癬とは炎症によって関節の腫れや変形が見られる疾患で、こちらは乾癬患者の6~42%で見られることが特徴です。
乾癬は免疫系の異常によって起こるものです。免疫系の異常は遺伝することがあることから、家族内で発症しているケースも見られます。また皮膚への刺激や感染症、リチウムなどの薬剤も乾癬の発症に関係していると考えられています。乾癬の症状が起きているところでは、皮膚のターンオーバーが活発になりすぎることで、皮膚が盛り上がり分厚くなる様子がよく見られるものです。
乾癬の治療方法には主に4つの種類があります。飲み薬、光線療法、塗り薬、注射です。アプレゾ30 は飲み薬に該当するものです。ただし局所療法で効果が不十分だった場合にのみ使われる治療薬なので、アプレゾ30を乾癬治療の第一選択薬とすることはありません。炎症を抑えるステロイド剤や細胞の異常な増殖を抑えるビタミンD3などの塗り薬などを使用しても効果が出なかった場合はアプレゾ30の使用を検討します。また乾癬の症状が出ている部位が体表面積の10%以上であることもアプレゾ30mgを使用する条件です。
アプレゾ30 を服用することで、うつ症状が出た事例が報告されています。アプレゾ30 が原因かどうかははっきりしていませんが、うつ病の症状が悪化する可能性があるため、服用中は十分に症状を観察する必要があります。また悪性腫瘍の有無や既往歴も事前に確認が必要です。アプレゾ30 によって、悪性腫瘍を抑制する働きに影響が出る可能性が否定できません。
アプレゾ30 は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害することで、炎症を抑えるお薬です。乾癬の患者では、炎症を引き起こすTNF-αやIL-23などのサイトカインが多く分泌されていることが特徴です。これらのサイトカインが分泌されるのにPDE4が関わっています。乾癬の患者は、炎症性サイトカインを分泌させるPDE4が過剰に存在するため、結果として炎症を引き起こすサイトカインが大量に分泌されてしまうのです。PDE4を阻害すると、炎症を起こすサイトカインの分泌は抑制されますが、逆に抗炎症効果を持つIL-10などのサイトカインの量は増加します。
炎症を抑えるということは免疫系の反応を抑えることにもつながるため、アプレゾ30 を投与することで感染症が悪化する可能性があることは十分に理解しておかなければなりません。また徐々に服用していく量を増やす少し変わった飲み方で服用する必要があるため、飲み間違えがないよう配慮する必要もあります。基本的には使用量に記載している通りの服用方法となりますが、腎機能が低下している場合は減量も必要です。