アドクミンは、生細胞をコーティングして保護することで細胞の免疫力を増強し、がん細胞の生成を阻害するほか、放射線療法から細胞を守る目的にも使用されます。
南アジアを中心に広く分布しているウコンはショウガ科の植物で、英語名はターメリックと言います。香辛料や染料、また肝臓の強化をはじめ多くの効能・効果があるとして民間療法的に使用されるなど、広く生活に浸透している植物でもあります。
ひと口にウコンと言ってもその種類は多彩で、その多くが主にクルクミノイドと呼ばれる脂溶性のポリフェノール色素に由来する鮮やかな黄色をしています。その中でももっとも活性のある部分であるクルクミンは、肝保護、抗酸化、抗腫瘍、抗炎症、抗菌などさまざまな作用があるとされており、特に肝機能を向上させる効果がよく知られています。ところが最近では、ウコンには免疫機能を上昇させる働きがあり、がん治療に対する有効性も示唆されています。
がんの原因については詳しく解明されておらず、また諸説ありますが、そのひとつに、がんの発生にはきっかけとなる最初の段階があり、とある要素がそれを促進することでがんに発展する、という説があります。この場合、最初の段階においては遺伝など生まれながらにして原因を持っているケースがあるため発見や治療は容易ではありませんが、例えばこの最初の段階から次の段階に移るきっかけとなる要素を抑制すればがんが発症する確率を大きく抑えることができます。その作用を発揮すると考えられているのがウコンです。
人体を守る防御系の機構には、異物(抗原)を特異的に反応処理し、俗に免疫として知られている特異的防御機構と、一般的な異物の侵入を阻止したり排除したりする非特異的防御機構の2段階があります。この免疫の働きに関与しているのが、抗原を直接攻撃したり抗体をつくりすぎないよう免疫機能を調節するT細胞や、同じ抗原が入ってきたときに抗体をつくることができるように記憶するB細胞、そして細菌やウイルスに感染した細胞をはじめがん細胞に対して退治をする働きを持つナチュラルキラー細胞(NK細胞)などのリンパ球です。つまり、このリンパ球が常に正常に働いている限りはがんを含む病気にかかることはほとんどないことになります。ウコンには、この生体の防御性を活性化する働きに加え、代謝に欠かせない酵素を破壊したり、細胞中の遺伝子(DNA)を傷つけてリウマチや胃腸疾患、喘息のほかにがんの発生にも関係しているとされている活性酸素を除去する効果もあるとして、医学の分野における研究が進められています。
アドクミンは、これらの作用に加え、体に対して多くの有用な効果を持つとされるウコンを有効成分としています。この成分が生細胞を層で包み込むことで免疫力を上げ、新たにがん細胞が生成されるのを防ぐだけでなく、放射線治療から細胞を守る効果も期待できることから、化学療法の補助薬としても使用されています。