アスタリン4は気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫などの気道閉塞性障害にもとづく諸症状の緩和、および早産の予防に使用される経口薬です。
気道とは、呼吸の際に空気が通過する通り道のことで、一般には鼻孔から鼻腔を経て咽頭および喉頭までを上気道、その先の肺に至る気管と気管支を下気道と呼びます。この気道が何らかの原因で狭くなり、空気がうまく通らなくなった状態が気道閉塞で、主に呼吸困難、喘鳴、胸苦しさなどの症状を伴います。
気道閉塞が起こる原因は、その元となる病気によって異なりますが、例えば気管支喘息の場合はダニ、ほこり、花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因)、また気管支炎が長期にわたって継続した状態である慢性気管支炎ではウイルスや鉱物性・植物性の粒子などの刺激物、そして肺気腫では喫煙が深く関係しているとされています。
これらの原因により気道の平滑筋が収縮すると気道が狭くなり、喘息などの症状が現われますが、この平滑筋の収縮に関与しているのが交感神経です。
交感神経の刺激は、神経の末端から放出されたアドレナリン、ノルアドレナリンという物質が、目的の臓器にある受容体と結合することで伝達していきます。この交感神経の受容体にはαおよびβの2つの受容体があり、気管支筋の弛緩作用はこのうちβ受容体の刺激によるものです。β受容体はさらに心筋収縮力の増大に関係するβ1と、気管支、子宮などの弛緩・拡張に関係しているβ2に分類することができますが、気管支拡張剤においてはこのβ受容体に対して選択的に反応を示すものが望ましいとされています。
アスタリン4の有効成分であるサルブタモールは、特にβ2受容体に対して強い興奮作用を持つフェニルエタノールアミン系の気管支拡張薬です。かつて広く使用された気管支拡張剤にイソプレナリンがありましたが、作用時間が短く、β1受容体刺激作用が強かったために心脈管系に影響を与えるという問題があり、また別に開発されたオルシプレナリンは、持続性がある一方で効力が弱いという欠点がありました。これらの欠点を改良し、新たに合成された成分がサルブタモールです。
サルブタモールのβ2受容体への結合性はβ1受容体への結合性の0.63倍であり、どちらかというとβ1への結合性が強いようです。ところがサルブタモールの気管支拡張作用は心悸亢進作用にくらべて17倍高く、また心臓への作用が出ないごく少量で充分に気管支への作用を持つことから、サルブタモールのβ2選択性は作用選択性であると言えます。
またサルブタモールは子宮平滑筋を弛緩させる作用もあることから、早産防止目的で使用されることもあります。