アサフェンは第二世代抗ヒスタミン薬で、ヒスタミンH1受容体非競合的拮抗作用と肥満細胞安定(ケミカルメディエータ遊離阻害)作用を合わせ持っています。
気管支喘息、アレルギー性気管支炎、アレルギー性鼻炎や後鼻漏およびアレルギー性皮膚炎に効力があるとされています。
気管支喘息とはアレルゲンや刺激に対する細胞の免疫機能によって引き起こされる慢性的可逆性気道閉塞性で、発作時の喘鳴と呼吸苦を特徴とする疾患です。
日本での有病率は人口の約3%~5%、世界中では約3億人が罹患者であるとされ、その数は年々増加しています。
症状が現れない平常時と、激しい発作時の2つの状態が存在し、発作には気道細胞の炎症によって気道平滑筋が緊縮し、それによる可逆性気道閉塞が起こります。
重篤な発作になると命に関わるケースもある呼吸困難、喘鳴、胸が締め付けられるなどの症状が現れます。
アレルギー性気管支炎の原因については解明されていない点が多く、風邪などによって気管支の免疫力が低下しているところにダニ、ほこり、、花粉、動植物、食品、化学品、薬品などのさまざまなアレルゲンが付着して、炎症を引き起こすために発症すると考えられています。
主な症状は長引く咳です。よほど重篤な症状でない限り呼吸困難を伴うことはそれほどありません。
アレルギー性鼻炎はさまざまなアレルゲンによって鼻粘膜や副鼻腔に炎症を引き起こし、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどを引き起こすもので、花粉症もこのアレルギー性鼻炎の一種となります。
アレルギー鼻炎による鼻水が喉に流れて、その刺激によって咳が出ることを後鼻漏といいます。
アレルギー皮膚炎はさまざまなアレルゲンの接触や摂取によってじんましんや湿疹などの痒みを伴う皮膚の炎症です。
体内に異物であるアレルゲンが侵入すると、免疫グロブリンEと呼ばれるIgE抗体が形成され、肥満細胞や白血球の好塩基球の表面に結合します。
形成された抗体に対するアレルゲンは、再び体内に侵入すると細胞表面のIgE抗体に結合し、ヒスタミンと呼ばれる化学伝達物質を細胞から遊離させます。
遊離したヒスタミンは細胞上のH1 と呼ばれる受容体と結合することによって、気管支平滑筋の収縮、血管拡張作用による発赤や紅斑の発生、血管透過性亢進による浮腫の形成といった炎症症状を引き起こします。
また表皮感覚の神経線維の一つであるC腺維上にあるH1 受容体に結合するとC腺維を刺激し、痒みを伝達する作用もあります。
IgE抗体のある肥満細胞はヒスタミンの他にもロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)、プロスタグランディン、トロンボンキサンなど炎症を促進する化学物質(ケミカルミディエーター)を遊離させます。
遊離されたプロスタグランディンはくしゃみや鼻水、またロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)、トロンボンキサンなどは鼻詰まりなどの炎症症状を促進します。
アサフェンは、有効成分のケトチフェンがヒスタミンH1受容体に結合し、炎症のトリガー因子であるヒスタミンが各細胞のH1受容体に結合することを阻害します。
また、肥満細胞の細胞膜を強化しヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質(ケミカルメディエータ)が肥満細胞から遊離されることを阻害し、炎症作用の発現を抑える効果があります。
これらの効果によって血小板活性化因子(PAF)に対する気管支の過敏反応やそれに伴う気管支の収縮が抑制され、好酸性白血球が気道に蓄積されることによって引き起こされる過剰な気管支炎症が阻害されます。
さらにはヒスタミン、ロイコトリエンなどの炎症作用を触媒する化学物質(ケミカルメディエーター)の遊離が阻害され、それらによって引き起こされる気管支収縮に拮抗する作用をもたらすため、特に気管支の炎症において優れた効用を発揮します。