メンタルヘルス
抗うつ剤
◆うつ病とは◆
うつ病とは、落ち込み、意欲や興味の喪失、判断力、思考力、集中力の低下といった精神的な抑うつ状態と、それに伴う睡眠障害、頭痛、倦怠感、食欲、及び性欲の減退といったような身体症状が長期的に継続する気分障害で、10人に1人が生涯の間に経験するとされています。
通常、落ち込みや意欲の喪失といったうつ状態は、時間の経過と共に自然に回復するものですが、うつ病の場合は典型的なうつ症状がほぼ1日中、2週間以上に渡って続き、日常生活や社会生活に支障をきたす病的な状態となります。
その発症原因についてはいまだに解明されていませんが、主にストレス、環境の変化、身体的、或いは性格的要因が引き金となる場合が多く、また薬物の服用、感染症やホルモンの異常などの身体疾患によって引き起こされることもあるとされています。
さらに、発症に伴い精神や体を活性化させる働きを持つ脳内の物質が減少していることが解明されており、このことによって脳の機能が低下させられて精神的、身体的不調をもたらすと考えられています。
初期の段階では原因不明な不眠や頭痛といった精神症状よりも身体症状が現れることが多いため、一般内科を受診し「原因がわからない」、「異常がない」、「気のせい」などと言われることもよくあるとされています。
しかし、そのまま放置され、重症になると妄想や幻覚を伴ったり、自殺の危険性をも伴う病気であることから、原因不明な精神的、身体的不調が継続する場合にはうつ病を疑い、適切な治療を受けることが必要とされています。
うつ病の治療の基本は充分な休養と薬物治療になり、適切な治療が行われれば1年ほどで完治するとされています。
しかし、治療を開始してからの症状が快方に向かう「回復期」には自殺企画の増加が見られること、また一旦回復しても再発しやすいという特徴があることから、専門医の管理のもと、精神療法などを組み合わせた適切な療法を継続することが必要とされています。
◆うつ病の症状◆
*精神的症状
・気分、意欲、思考の低下
・意欲、興味の喪失
・憂鬱
・自責感
・罪悪感
・自殺念慮
*身体的症状
・睡眠障害
・食欲不振、体重減少
・倦怠感、疲労感
・頭痛、目眩
・性欲減少
◆セロトニン不足◆
脳から分泌されるセロトニンは心身ともに快適な生活を送る為の大切な働きをしています。
【セロトニン不足による症状】
に存在するセロトニンは、うつの原因ともされるドーパミン不足の調節に関与し、心身を安定させるように働きます。
このため、セロトニン不足が生じると精神の安定が保てず、うつ病や不眠症などになります。また、睡眠のほか、生体リズムや体温調節などにもかかわっています。セニトロンが不足すると、ストレスの影響を受けやすくなる、疲れやすくなる、寝つきが悪くなると言った症状が出てくるのはこのためです。
【セロトニンを増やす生活習慣】
セロトニンを増やす生活習慣は、太陽の光を浴びる、リズム運動、(ウォーキング、カラオケ、咀嚼含む)、スキンシップです。スキンシップ時には安心や幸福を感じるオキシトシンという神経伝達物質が分泌されます。オキシトシンは、セロトニンの分泌を誘発する働きがあるため、セロトニンが増えるのです。 エステやマッサージも有効で、ストレス緩和に信頼できる人との会話でもオキシトシンが分泌されるためセニトロンが分泌を誘発します。
【セロトニンを増やす生活習慣】
セロトニンを増やすのに欠かすことのできない成分はトリプトファンです。このトリプトファンを多く含む食品は、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品や、豆腐・納豆・しょうゆ・味噌などの大豆製品です。 さらに、カツオ・マグロなどの魚類、アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類、バナナや小麦胚芽、卵などにも多く含まれています。身近な食材に多く含まれているのです。
セロトニンはトリプトファンだけでなく、ビタミンB6やマグネシウム、ナイアシンからも合成されます。ビタミンB6は、サンマやニンニク、マグネシウムはわかめやひじきに、ナイアシンはきのこ類や緑黄色野菜などに多く含まれているため、日々の食事に取り入れることをお薦めします。 トリプトファンは体内で合成することができないため、できれば毎日食べ物から摂取することが大切です。
◆抗うつ剤とは◆
抗うつ剤とは1950年代に結核の治療薬として開発されたイミプランに偶然うつ症状を改善する効果が認められたことをきっかけに開発され、現在ではうつ病治療の中心として用いられている薬物です。
また、その作用が脳の神経細胞(ニューロン)間で情報伝達を担っているモノアミンと呼ばれる物質の量を増加させることによるものであることから、人間の精神状態が脳内のさまざまな神経活動によって維持されており、その神経活動を担っているモノアミンという神経伝達物質の減少がうつ病の原因であるとするモノアミン説が提唱されるようになりました。
脳の神経細胞(ニューロン)には情報を発信する細胞と受信する細胞とがあり、神経細胞(ニューロン)間での情報伝達は、発信側から送りだされたモノアミン(神経伝達物質)が受信側で受け取られることによって成立します。
しかし、脳内では莫大な量の情報伝達が随時行われているため、送りだされたモノアミンのうち、受信されなかったものは、ただちに送信側のトランスポーターというところから再吸収され、次回の情報伝達時に再度送り出されることによって情報伝達を行う仕組みとなっています。
現在うつ病の治療薬として用いられている、抗うつ剤はこのモノアミンの再吸収口となるトランスポーターを遮断することによって、より多くのモノアミン(神経伝達物質)が受信側に受け取られるようにすることによって、精神活動を活発にさせる作用を発揮します。
特にうつ病の発症によってその減少が著しく認められるセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンの量を増加させ、落ち着きや安定感、注意力や判断力の促進、そして動悸づけの増強といった作用をもたらすとされています。
◆抗うつ剤の種類◆
開発された年代順に第一世代から第四世代に分類され、代表的なものとして三環系抗うつ剤、四環系抗うつ剤、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などがあります。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)について